高木健太郎

高木健太郎（たかぎ けんたろう）

高木健太郎は、1910年3月17日に福岡市で生まれた日本の著名な医学者および政治家です。彼は1940年に九州帝国大学から医学博士の学位を取得し、その後長年にわたり生理学の分野で著名な研究を行いました。名古屋大学および名古屋市立大学の名誉教授として知られる高木は、また参議院議員としても2期務めており、1990年に逝去するまで多彩な業績を残しました。彼の家族には、父親が九州帝国大学医学部の教授を務めていた高木繁や、薬学者の下山順一郎がいます。

学歴と初期の経歴

高木は福岡県立中学校修猷館を1927年に卒業し、1930年に旧制福岡高等学校を経て、1934年に九州帝国大学医学部を卒業しました。卒業後、同大学の第一生理学に入局し、助手として経験を積みます。1939年には新潟医科大学（のちの新潟大学医）で助教授となり、1965年には高所医学研究のため南米アンデス山脈に遠征、その成果を上げました。

医学の分野での業績

高木は特に汗の研究や体温調節において世界的な権威とされています。「圧反射現象」の発見が特に有名で、これは皮膚を圧迫することで生じる発汗の抑制に関するものです。また、鍼灸医学の研究にも熱心であり、中国を幾度も訪問し、東西の医学の交流を促進しました。1980年には全日本鍼灸学会を設立し、初代会長に就任しました。さらに、1980年には世界鍼灸学会連合会の名誉会長となり、国際的な地位も確立しました。

高木はまた、様々な受賞歴があります。朝日科学奨励賞を1959年に受賞し、1967年には中日文化賞、1974年には紫綬褒章、1979年には全米医学教育学会賞を受賞しました。

政治活動

政治家としては、1980年に無所属で第12回参議院議員選挙に立候補し当選、その後も数々の委員会に参加しました。特に生命倫理研究議員連盟において、臓器移植の推進に尽力しながらも、様々な視点からの議論を促すことを主張しました。この取り組みは社会的な課題に対する高木の姿勢を示すもので、医学のみならず宗教や法律、哲学といった広い分野の研究者との連携を提唱していました。

晩年と死去

高木は1990年に膵臓がんで逝去し、享年80歳でした。参議院議員在職中での死去だったため、従三位勲二等に叙せられ、旭日重光章が授与されました。彼の遺体は献体され、医学教育や研究に寄与する形となりました。高木健太郎の生涯は、医学研究と政治活動の両面において多大な貢献を果たしたものであり、今後もその業績は人々に語り継がれるでしょう。

もう一度検索