高松聡

高松 聡（たかまつ さとし、1963年5月5日生まれ）は、日本のクリエイティブディレクターであり、現在はSPACE TRAVELおよびSPACE FILMSの代表を務めています。

若き日の夢とキャリアの始まり

栃木県に生まれた高松は、筑波大学で基礎工学を学びました。学生時代の1983年、宇宙開発事業団が実施した初の日本人宇宙飛行士公募に強い関心を示しますが、必要な視力条件を満たせず、宇宙への夢を一時断念せざるを得ませんでした。大学卒業後の1986年、大手広告会社である電通に入社し、営業局に配属されます。

電通での功績

電通時代、高松は広告業界で数々の画期的なプロジェクトを成功させました。2001年には、世界で初めて宇宙空間で撮影されたCM（大塚製薬「ポカリスエット」）を企画制作し、TCC新人賞を受賞しています。翌2002年には、FIFAワールドカップの日本代表戦を国立競技場の巨大スクリーンで観戦する、世界初のFIFA公認有料パブリックビューイングを企画・実行。このイベントは国内外で大きな注目を集め、カンヌ広告賞の金賞に輝きました。この成功を経て、2002年にクリエイティブ局へ異動し、日清カップヌードル「NO BORDER」などの印象的なキャンペーンを手がけました。

独立と新たな挑戦

2005年、高松は電通を退社し、自身のクリエーティブエージェンシーGROUNDを設立します。独立後も、日清カップヌードル「FREEDOM」（23世紀の月を舞台にしたアニメーションシリーズ）をはじめ、独創的な企画を次々と発表しました。2009年から2010年にかけては、ユニクロのヒートテック、UT、UJといった主力商品のクリエイティブディレクターを担当。2011年にはauの「Android au」シリーズで、人気アイドルグループ嵐が出演するCMを1日に60種類放送するという前例のない試みを行い、またauのデザインプロジェクト「iida」ブランドのクリエイティブディレクターも務めました。2012年には、AKB48グループのメンバーが一斉にGoogle+を開始する企画を実現させ、デジタル領域でも話題を呼びました。長年にわたり、国際的な広告賞の審査員や読売広告賞の審査員も務めるなど、業界への貢献も大きい人物です。

広告界からの引退とアーティスト活動

22014年、高松は自身のSNSを通じて広告クリエイターとしての第一線から退くことを表明。同年には東京都現代美術館の企画展にも参加しました。後述する宇宙飛行士訓練期間を経て約5年間の沈黙の後、2020年からアーティストとしての活動を再開しています。

再び宇宙へ：飛行士への挑戦

2015年1月、高松は「民間人として日本人初のISS搭乗宇宙飛行士」を目指し、ロシアでの訓練に入ることを発表しました。これは、ソユーズTMA-18MでのISS搭乗を予定していた歌手サラ・ブライトマン氏のバックアップクルーとしての挑戦でした。ブライトマン氏が家庭の事情で飛行を延期したことで、高松氏に搭乗の可能性が生じ、同年6月には宇宙旅行会社スペース・アドベンチャーズとISSへの宇宙飛行契約を締結します。当時の見込みでは、2年から4年後の飛行が期待されていましたが、準備のために将来の機会を待つことを選択しました。

しかし、その後の状況は複雑でした。2020年9月、自身のFacebookで「ある事件」により、訓練を修了したものの「星の街」（ロシアのガガーリン宇宙飛行士訓練センター）での卒業証書に「宇宙飛行士」の言葉は記されなかったことを明かしました。2020年の個展ウェブサイトでは、訓練は満了したものの、ブライトマン氏の辞退によりバックアップクルーの立場を失い、宇宙飛行士認定を得られなかったと説明されています。

最終的に、2021年12月にISSへ飛行・滞在した前澤友作氏と平野陽三氏が、日本人の民間人として初のISS搭乗者となりました。

主な仕事・受賞歴

スカイパーフェクトTV！「パブリック・ビューイング・イン東京」（2003年カンヌ国際広告祭メディアライオン金賞）
日清カップヌードル「NO BORDER」「FREEDOM」
ユニクロ「UT」「HEATTECH」
au「iida」「Android au」
クリオ賞（2004年銀賞、2006年グランプリなど多数）
アドフェスト（2005年銀賞、2007年・2008年グランプリ）
* NY ADC賞 ハイブリッド部門 金賞（2006年）

もう一度検索