高橋巖 (映画監督)

高橋巖（たかはし いわお）

高橋巖は、1963年神奈川県出身の映画・テレビドラマ監督、演出家です。日本工学院専門学校映像科を卒業後、実相寺昭雄監督に師事し、数々の作品を手がけてきました。

人物・来歴

神奈川県平塚市で生まれた高橋巖は、幼少の頃から映像に強い興味を持ち、中学生の頃には8ミリフィルムで自主映画制作を開始。「スタンリー・キューブリックの影響は大きい」と語っています。

1987年、東宝スタジオで撮影中の実相寺昭雄監督作品『帝都物語』の現場に飛び込み、特撮のフォース助監督として参加。撮影終了後は実相寺監督の制作会社「コダイ」に所属し、実相寺監督や門下生の服部光則監督、北浦嗣巳監督らの助監督として経験を積みます。

当時の「コダイ」は、川崎郷太監督、特殊メイクの原口智生、『帝都物語』で画コンテを担当した樋口真嗣監督など、同世代の演出家志望者が集まる場所でした。

1991年、「コダイ」制作のオリジナルビデオ『実相寺昭雄の不思議館』の一エピソード「ワン・コイン・ドリップ・ドリーム」で初監督（脚本も担当）。他のエピソードではプロデューサーとして活躍しました。

1994年に「コダイ」を退社し、フリーランスとして活動の場を広げます。1997年には、佐伯日菜子主演のTV版『エコエコアザラク』の演出を担当。しかし、神戸連続児童殺傷事件の影響で、第19話以降の放送が自粛されるという出来事もありました。

2001年、ソニーのCineAltaカメラ「HDW-F900」を本格的に使用した日本初のデジタルシネマ作品『infinity ∞ 波の上の甲虫』で劇場映画デビュー。東京都写真美術館でロングラン上映され、雅楽師・東儀秀樹の映画デビュー作としても話題になりました。この縁で、東儀秀樹が『ウチくる!?』に出演した際、高橋巖へ感謝の手紙を送る場面もありました。

2003年には、劇場作品第2作『八月のかりゆし』が公開。松田龍平が主演し、村山富市元首相が出演したことでも注目を集めました。『波の上の甲虫』『八月のかりゆし』と熱帯地域でのロケが続いたことがきっかけで、高橋巖は熱帯環境をライフワークとすることを決意します。

2008年から2016年まで、和光大学表現学部総合文化学科の准教授を務めました。2009年には、映画『希望ヶ丘夫婦戦争』が公開されています。

2021年には、文化庁長官表彰を受彰しました。

主な監督作品

映画

infinity ∞ 波の上の甲虫（2001年）
八月のかりゆし（2003年）
MAIL（2004年）※インターネットドラマ『MAIL』の再編集版
地獄プロレス（2005年）
希望ヶ丘夫婦戦争（2009年）

テレビドラマ

パステル・ラブ（1996年）
エコエコアザラク（佐伯日菜子主演）（1997年）
真・女神転生デビルサマナー（1997年）
ねらわれた学園（村田和美主演）（1997年）
仮面天使ロゼッタ（1998年）
エコエコアザラク〜眼〜(上野なつひ主演)（2004年）
ウルトラQ dark fantasy（2004年）
栞と紙魚子の怪奇事件簿（2008年）

オリジナルビデオ

実相寺昭雄の不思議館（1992年）
妖女伝説セイレーン４（1995年）
ひらひら（1997年）
くりいむレモン 亜美の日記（2005年）
五龍奇剣士メタルカイザー(2014年)

インターネットドラマ

MAIL（2004年）
ドラマ版ふたりエッチ（2011年）

助監督作品

帝都物語（実相寺昭雄監督）
ウルトラQ ザ・ムービー 星の伝説（実相寺昭雄監督）
ウルトラマンティガ（実相寺昭雄監督回のみ）
幻の光（是枝裕和監督）
ワンダフルライフ（是枝裕和監督）
ブラックジャック（小中和哉監督）

高橋巖は、師である実相寺昭雄監督の影響を受けつつ、デジタルシネマや熱帯を舞台にした作品など、独自の表現を追求し続けている監督です。

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