高橋智大

高橋 智大：馬と歩むキャリア

高橋 智大（たかはし ともひろ）氏は、1980年8月27日に千葉県で生まれました。元々は競馬の騎手としてターフに立ち、引退後は競走馬の育成に携わる調教助手としてホースマンとしての道を歩み続けています。

競馬学校の第15期生として、北村宏司騎手や高田潤騎手らと同期にあたる彼は、卒業後の1999年に美浦トレーニングセンターの大久保洋吉厩舎からプロデビューを果たしました。同年3月7日、中山競馬場の第4レースでショウナンパークに騎乗し、初めてのレースを経験。そして、同年5月9日には新潟競馬場の第3レースでグレイトフェローを勝利に導き、キャリア初勝利を挙げました。初期には、人気のないヤマニンフューシヤに騎乗して、単勝や馬連で万馬券を演出するなど、穴メーカーとしても片鱗を見せています。デビュー初年度は合計6勝を記録しました。

キャリア2年目の2000年には、自身初めてとなる年間2桁勝利、自己最多の10勝を達成しました。この年の3月には中山競馬場で障害レースに初挑戦しましたが、これは結果的に騎手人生で唯一の障害戦騎乗となりました。障害レースに一度だけ騎乗してそのまま引退した騎手は少なく、高橋氏もその一人に数えられます。同年は福島での勝利が多くを占め、冬の小倉や中京でも勝ち星を重ねました。

その後も着実にキャリアを重ね、2001年には後にスプリント路線で活躍するショウナンカンプのデビュー戦に騎乗。2003年には地方競馬からの移籍馬であるメジロマントルを勝利に導くなど、様々な馬で経験を積みました。2004年は勝利数こそ振るいませんでしたが、2005年に彼の騎手人生におけるハイライトの一つが訪れます。

2005年1月23日の小倉競馬場でのレースでは、15番人気だったメジロシルエットを勝利に導き、このレースの3連単は当時のJRA史上最高配当となる405万円超えという大波乱となりました。メジロシルエットでは続くレースも勝利し連勝を飾りました。また、フィヨルドクルーズでは格上挑戦となった愛知杯で3着に粘り込み、ここでも3連単220万円超えという重賞におけるJRA史上最高の配当（当時）を演出するなど、人気薄での好走が光りました。他にも、エイシンサリヴァンでのラジオたんぱ賞3着や、コアレスパティオでの連勝、そして15番人気のアミュレットでの勝利など、この年は多くの人気薄の馬を上位に持ってきて存在感を示し、5年ぶりに年間10勝をマークしましたが、これが騎手として最後の2桁勝利となりました。

2006年以降は勝ち星が減少し、2008年にはキャリア初の年間0勝に終わります。しかし、諦めることなく騎乗を続け、2009年7月25日の新潟競馬場での2歳新馬戦で、11番人気のプリンセスメモリーを勝利に導きました。これが騎手としての最後の勝利となりました。

2010年も勝ち星を挙げられず、2011年9月4日の小倉競馬場でのレースがキャリア最後の騎乗となり、同年10月31日をもって騎手を引退しました。

騎手引退後は、美浦トレーニングセンターの堀宣行厩舎にて調教助手として第二のキャリアをスタートさせました。調教助手としては、海外GⅠホースであるサトノクラウンや、2023年の第90回日本ダービーを制したタスティエーラ（サトノクラウン産駒）など、多くの活躍馬に携わっており、騎手時代とは異なる形でホースマンとしての手腕を発揮しています。

人気薄の馬で記憶に残る激走を演出し、波乱を呼んだ騎手時代を経て、現在は調教助手として名馬を育てる側に回った高橋智大氏。その競馬への情熱は、形を変えながらも今なお続いています。

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