高橋正圀

髙橋正圀（たかはし まさくに）は、1943年1月8日に生まれた日本の脚本家です。

幼少期と創作の芽生え

横浜市で生を受けた髙橋は、生後間もなく山形県米沢市へ疎開し、高校卒業まで米沢で育ちました。幼い頃から創作活動に親しみ、幻灯機を使った上映会を友人と開くなど、絵を描いて物語を作ることに熱中していました。また、当時の東映時代劇に魅せられ、その後の作品世界にも影響を与えたと考えられます。

映画への傾倒と上京

山形大学工学部に入学しますが、物語への思いから中途退学を選び、東京のシナリオ研究所で学ぶために上京します。その後、改めて中央大学文学部に入学。学生時代には年間300本もの映画を鑑賞するほどの情熱を傾け、大学のサークル活動では8ミリ映画の制作に励みました。しかし、中央大学も後に中退しています。

脚本家への道

シナリオ作家協会・シナリオ研究所を修了後、24歳を過ぎた頃、この機会を逃すまいと応募した第20回新人映画コンクールで佳作に入選します。本人の弁によれば、これは「ぎりぎりのところで引っかかった」入選であったとのこと。この後、映画監督の山田洋次に師事し、脚本家としての基礎を固めていきました。

デビューと活躍

1978年、35歳でNHK銀河テレビ小説『ぼくの姉さん』の脚本を手掛け、これを機に脚本家として一本立ちを果たします。その後もテレビドラマを中心に活躍し、NHK連続テレビ小説では『まんさくの花』（1981年）、『はっさい先生』（1987年）といった話題作を手掛けました。また、NHK銀河テレビ小説『陽だまり横丁のラブソング』（1984年）なども知られています。映画では、国民的人気シリーズ『釣りバカ日誌』の第5作（1992年）と第7作（1994年）の脚本を担当しました。

舞台活動と「農業三部作」

特に、劇団青年劇場との関わりは深く、数多くの作品を提供しています。中でも、『遺産らぷそでぃ』（1990年）、『菜の花らぷそでぃ』（1996年、※注：入力情報では「葉の花らぷそでぃ」とありますが、青年劇場の公式サイト等では「菜の花らぷそでぃ」と表記されることが一般的です）、『結の風らぷそでぃ』（2009年）は、現代の農業や農村が抱える問題を描いた「農業三部作」として評価されています。その他の代表的な舞台作品には、『愛が聞こえます』（2000年）などがあります。

代表作品

テレビドラマ
まんさくの花（1981年、NHK総合「連続テレビ小説」）
陽だまり横丁のラブソング（1984年、NHK総合「銀河テレビ小説」）
はっさい先生（1987年、NHK総合「連続テレビ小説」）
ほか

映画
釣りバカ日誌5（1992年、松竹）
釣りバカ日誌7（1994年、松竹）

舞台（青年劇場）
遺産らぷそでぃ（1990年）
菜の花らぷそでぃ（1996年）
愛が聞こえます（2000年）
結の風らぷそでぃ（2009年）
ほか

著書

自作のノベライズや戯曲集なども刊行しています。

『ぼくの姉さん』日本放送出版協会 1978
『姉さんの子守唄』日本放送出版協会 1979
『姉さんは腕まくり』日本放送出版協会 1980
『まんさくの花 上・下』日本放送出版協会 1981
『遺産らぷそでぃ 髙橋正圀戯曲集』影書房 2002

髙橋正圀は、テレビドラマから映画、そして特に舞台と、幅広い分野で人間ドラマを描き続けている脚本家です。その作品は、市井の人々の暮らしや社会の動きを丁寧に捉え、多くの視聴者や観客に感動を与えてきました。

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