高橋紀世子

高橋 紀世子（たかはし きせこ）は、日本の政治家であり、第66代内閣総理大臣を務めた三木武夫の娘としてその生涯を歩みました。1942年（昭和17年）6月22日に東京都で生まれ、2020年（令和2年）2月22日に77歳でその生涯を閉じました。正五位を追贈されています。立教大学文学部を卒業しています。

彼女は政治家の家系に生まれました。父は三木武夫元首相、母は三木睦子、祖父は実業家の森矗昶です。家族としては、母・睦子氏と養子縁組をした息子である三木立氏と、衆議院議員の高橋永氏という二人の息子、そして長女がいます。息子の一人である三木立氏は政治家秘書や藍染作家として活動し、1996年の衆議院議員選挙に出馬した経験を持ちます。もう一人の息子、高橋永氏は博報堂での勤務を経て政界に進出し、2024年の衆議院選挙で比例復活当選を果たしています。

政界に進出する前、彼女は全国発明婦人協会の理事や、アメリカの大学の理事など、様々な役職を歴任しました。これらの経験は、その後の政治活動や教育活動に影響を与えたと考えられます。

1998年（平成10年）、高橋氏は第18回参議院議員通常選挙に、徳島県選挙区から無所属の野党統一候補として立候補し、見事当選を果たしました。参議院議員としての活動中、中村敦夫氏と共に院内会派「さきがけ環境会議」を結成し、その後は「みどりの会議」に参加するなど、特に環境問題への関心を示しました。

しかし、当選から半年後、彼女はくも膜下出血を患い、長期にわたる入院生活を余儀なくされました。体調の回復を目指しつつも、政治活動への影響は避けられませんでした。2004年（平成16年）の第20回参議院議員通常選挙では、再選を目指すかどうかが注目されましたが、病後の体調に加え、協力関係にあった民主党徳島県連からの推薦を得られなかったことから、立候補を断念し、政界からの引退を表明しました。

政界引退後、高橋氏は教育の道に進みます。2005年（平成17年）からは恵泉女学園大学人間社会学部で教授として教鞭を執り、ジェンダー論や環境政治学を担当しました。自身の政治経験や社会への関心を、次世代を担う学生たちに伝える活動に力を注ぎ、2011年（平成23年）に同大学を定年退職しました。

政治家としての彼女は、特に選択的夫婦別姓制度の導入に対して強い賛成の立場をとっていました。婚姻後も夫婦がそれぞれの姓を維持できるようにすることは、男女が平等な立場で社会を築いていく上で非常に重要であると主張し、現状の習慣的な夫婦同姓を見直すことの必要性を訴えました。この政策への姿勢は、彼女がジェンダー論に関心を持っていたこととも関連が深いと言えます。

2020年（令和2年）2月22日、肺炎のため77歳で亡くなりました。その死没日をもって、長年の功績が認められ正五位に叙されています。高橋紀世子氏は、政治家として、教育者として、また著名な政治家一家の一員として、多岐にわたる活動を通じて社会に関わり続けました。

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