高玉金山

高玉金山：幻の金山、その歴史と栄光

高玉金山は、かつて福島県郡山市熱海町に位置し、戦国時代にその歴史を刻み始めた金山です。最盛期であった昭和初期には、佐渡金山、菱刈金山と並び、日本を代表する三大金山の一つとして名を馳せました。

歴史

1573年（天正元年）: 蘆名盛興によって開山。
1929年（昭和4年）: 日本鉱業が経営を引き継ぎ、当時最新鋭の260馬力ロータリーコンプレッサーを導入し、採掘の近代化を図る。
1935年（昭和10年）: 最盛期を迎え、年間1トン以上の金を産出。これは、当時の日本の金産出量において、非常に大きな割合を占めていた。
1955年（昭和30年）: 累計の総産出量は、金22トン強、銀210トン強に達し、日本の鉱業史にその名を深く刻む。
1976年（昭和51年）: 資源の枯渇や採算性の問題から、惜しまれつつ閉山。
1996年（平成8年）: 閉山後、その歴史と遺産を伝えるため、観光施設としてオープン。
2012年（平成24年）: 運営上の都合により、観光施設は休業。現在に至る。

金山の構造と採掘

高玉金山の坑道は、主に本山坑、鴬坑、青木葉坑の三つから構成され、その総延長は驚くべきことに600kmにも及びます。これは、東京から大阪を結ぶ距離に匹敵し、金山の規模の大きさを物語っています。現在、観光地化されているのは青木葉坑の跡地です。

高玉金山の特徴は、その鉱石の質にありました。日本の一般的な金山では、1トンの鉱石からわずか2g～3g程度の金しか採れません。しかし、高玉金山の鉱石からは、最大で10kg～20kgもの金が採れたと言われています。これは、極めて高い含有率であり、高玉金山が「金のなる木」として繁栄した理由の一つです。また、金だけでなく銀なども産出しました。

採掘された鉱石は、当時の最新技術を駆使して精錬され、金や銀として出荷されました。その過程で生じる捨石は、巨大なズリ山を形成していましたが、国道4号の基礎工事の材料として利用され、その姿を消しました。

金山とともに生きた人々

最盛期には、全国から2千人から3千人もの労働者が集まり、その家族を含めると約6千人もの人々が高玉金山の周辺で生活していました。彼らは、金山の繁栄を支え、その恩恵を受けていました。娯楽施設として、500人を収容できる大規模な集会場も作られ、映画の上映などが行われていました。

アクセス

自動車：磐越自動車道磐梯熱海インターチェンジから約15分、東北自動車道郡山インターチェンジから約20分。


高玉金山は閉山しましたが、その歴史と遺産は今もなお、人々の記憶に残っています。いつか観光施設が再開され、その輝きを再び見ることができる日が来ることを願っています。

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