高田久成

高田久成：実業家から名馬オーナーへ

高田久成（たかだ ひさなり）氏は、1920年、台湾新竹市で生まれました。父は台湾総督府に勤務しており、1927年に父の退職を機に日本へ帰国。その後、彦根高等商業学校（現・滋賀大学経済学部）と大阪商科大学（現・大阪市立大学）を卒業しました。彦根高商時代には漕艇部に所属していたという記録が残されています。

卒業後、天津の石炭関連企業に就職しますが、太平洋戦争終戦により1945年12月に帰国。しばらくは進駐軍の通訳や翻訳の仕事に携わった後、1948年に中外炉工業株式会社に入社。その後、同社の専務取締役などを歴任し、実業家としての道を歩みました。大阪府枚方市に居住しており、その住所は所有馬「テンポイント」の墓石に刻まれた銘から確認できます。

馬主としての活躍

高田氏は、日本中央競馬会（JRA）の馬主としても広く知られています。勝負服は桃、黄銭形散、白袖というデザインで、冠名は使用しませんでした。所有馬の多くは、関西地区の小川佐助、戸山為夫、鹿戸幸治、鹿戸明といった調教師の厩舎に所属していましたが、プリテイキャストのように関東の石栗龍雄厩舎に預託された馬もいました。

高田氏が所有した馬の中には、数々の重賞競走を制した名馬が多数含まれます。中でも特に有名なのは、テンポイントです。テンポイントの活躍は、高田氏の馬主としての成功を象徴するものでした。

天才馬テンポイント

テンポイント（1975年阪神3歳ステークス、1976年スプリングステークス、皐月賞2着、菊花賞2着、有馬記念2着、1977年天皇賞・春、京都記念、鳴尾記念、京都大賞典、有馬記念、宝塚記念2着）は、その圧倒的なスピードと強さで、競馬ファンの心を掴みました。皐月賞、菊花賞、有馬記念では2着と惜しくも優勝を逃しましたが、天皇賞・春など数々のG1競走を制覇し、高田氏の所有馬として大きな成功を収めました。

その他の活躍馬

テンポイント以外にも、高田氏は多くの優秀な競走馬を所有していました。

プリテイキャスト: 1980年の天皇賞・秋とダイヤモンドステークスを制覇。
キングスポイント: 阪神障害ステークス、中山大障害など、障害競走で活躍。
グレートエコー: 京都大障害、阪神障害ステークスで勝利を収めました。
マイシーズン: 1999年グランシャリオカップ優勝。
ラッキーキャスト: プリテイキャストの弟で、フジヤマケンザンの父。
ベストセーリング: 栗東ステークスで優勝、根岸ステークスで3着という成績を残しました。

これらの馬たちは、それぞれに個性と才能を持ち、高田氏の馬主としての慧眼と、厩舎スタッフの献身的な努力によって、数々の輝かしい勝利を掴みました。高田久成氏は、実業家としての成功に加え、数々の名馬を所有し、日本の競馬界に大きな足跡を残した人物として、これからも記憶され続けるでしょう。高田氏の功績は、単なる経済的な成功にとどまらず、日本の競馬文化の発展に貢献したという点において、高く評価されるべきです。

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