高福寺 (中津川市)

高福寺は、岐阜県中津川市落合にある浄土宗の寺院で、中央山と号します。本尊は阿弥陀如来で、恵那新四国八十八ヶ所霊場の四十番札所としても知られています。

歴史

高福寺の創建は天文12年（1543年）に満蓮社円誉によって開かれたと伝えられています。開基施主は、当時落合宿で問屋と庄屋を兼ねていた市岡喜平次です。開山以来、四度の新改築を経て現在に至っており、元禄5年(1692年)には十一世大蓮社廓誉が本堂を改新築、寛政9年(1797年)には十五世緑蓮社啓誉が再び本堂を改築しました。

文政5年(1822年)当時、寺の境内は籔林を含めて二町四方あり、そのうち三反畝が除地とされていました。天保元年(1830年)には梵鐘が再鋳造されましたが、昭和の太平洋戦争時に供出されています。明治32年(1899年)に三度目の改築が行われ、昭和47年(1972年)に現在の梵鐘が新鋳され、昭和54年(1979年)には現在の本堂が改新築されました。

寺宝

享保4年(1719年)に本尊である阿弥陀如来が造立され、寛保3年(1743年)には脇侍の観世音菩薩と勢至菩薩が造立されて阿弥陀三尊となりました。これらの仏像を造ったのは木曽福島の住人、仏師の作内重兵衛で、十二世の勝蓮社長誉によって開眼されました。また、それ以前の本尊仏も残されており、恵心作と伝えられる阿弥陀如来立像と観音・勢至両菩薩があります。その他、法然と善導の像、地蔵尊と弁財天の像も安置されています。

元禄13年(1700年)には、狩野派の筆による大涅槃図（縦250cm、横180cm）が施主である加納勘右衛門によって寄進されました。堂内には西国三十三ヶ所の観音像33体と弘法大師像も安置されています。

境内

境内の中央には、樹齢500年前後と推定される老松があり、「臥龍の松」と呼ばれています。根回りは約3m20cm、高さは約10mです。境内入口には2本の緋寒桜があり、1本は根回り約2m30cm、高さ約16m、もう1本は根回り約1m30cm、高さ約12mです。

境内西側には聖徳太子を祀る石造の祠があり、「筆塚」と呼ばれています。福蔵稲荷も祀られており、奉納版木には文政8年(1825年)に十七世の法蓮社教誉によって造立され、豊川稲荷を神体として勧請したと記されています。年に一度、祈願祭が催されます。

玉依姫や恵那新四国八十八ヶ所四十番の弘法大師像も祀られています。文化14年(1817年)には徳本上人による南無阿弥陀佛の名号碑が建立されました。また、蚕農講を設立した塚田彌左衛門の顕彰碑もあります。

高福寺は、歴史的な建造物や文化財、そして豊かな自然が調和した、静かで落ち着いた雰囲気の寺院です。参拝者は、その歴史と美しい景観に触れ、心安らぐ時間を過ごすことができるでしょう。

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