高速輸送艦

高速輸送艦 (APD)

高速輸送艦（こうそくゆそうかん、英: High Speed Transports）は、アメリカ海軍によって第二次世界大戦期に上陸作戦支援目的で使用されるようになった艦種です。これらは駆逐艦や護衛[[駆逐艦]]を改装したもので、特に小規模な特殊部隊を敵の海岸に上陸させる任務を担いました。艦種記号は「APD」で、「AP」は輸送、「D」は駆逐艦を意味します。

概要

APDの主な任務は、海兵隊の上陸部隊や水中爆破チーム、陸軍のレンジャー部隊など、中隊規模の小部隊を迅速に敵の支配下にある海岸に輸送することでした。APDは輸送と支援の両方をこなす能力を持ち、必要に応じて沖合からの艦砲射撃も行うことができました。

最初にAPDとして改造されたのは、第一次世界大戦当時に使用された旧式の駆逐艦であり、1938年から改装の検討が進められました。新しい駆逐艦の配備が進む中で、旧式艦は様々な任務に転用されることになりました。しかしその一部は、高速輸送艦へと改造され、完全装備の特殊上陸部隊を輸送する役割を担うこととなりました。

改装にあたっては、艦内の魚雷発射管やボイラー、煙突が取り除かれ、代わりにLCPL（上陸用舟艇）や部隊の居住区、武器庫が設けられました。また、特別攻撃隊の脅威に対抗するために武装も強化され、増設された艦砲や機関砲が搭載されました。後期型のAPDは新造の護衛[[駆逐艦]]を基にしており、部隊居住区の拡大やLCVPの搭載が特徴でした。1969年1月1日には、残存していたAPDは全てLPRに再分類されました。

第二次世界大戦での活動

ガダルカナル島の戦いでは、日米双方が制海権や制空権を確保できていなかったため、特に緊急供給の必要が高まりました。この状況下において、高速輸送艦の複合的な機能が不可欠でした。高速輸送艦は、小型の軍艦相手には十分な武装を探し求めており、同時により重武装な艦にも対抗できる速力を有していました。

高速輸送艦は、第二次世界大戦の中で数々の困難な任務を遂行しました。部隊の上陸を支援し、輸送船の護衛を行い、対潜作戦や海洋調査に従事しつつ、水中爆破チームやコマンド部隊の運用を行いました。さらに、乗客や郵便物の往復輸送も行うことで、連絡網の支援を担ったのです。大戦末期のフィリピンや沖縄の戦闘においては、特攻機対策として、通常の駆逐艦とレーダーピケット艦としての運用も見られました。そのため、高速輸送艦は敵の特攻による攻撃対象となり、4隻が沈没し、20隻が損傷を負いました。

艦級一覧

• - マンリー級：旧式駆逐艦改造、32隻。
• - チャールズ・ローレンス級：バックレイ級護衛[[駆逐艦]]改造、43隻。
• - クロスレイ級：ラッデロウ級護衛[[駆逐艦]]改造、51隻。

他国の類似艦船

アメリカ以外でも、高速で一定の戦闘能力を備えた輸送艦は存在しました。例えば、日本海軍では旧式駆逐艦を改装した「哨戒艇」があり、大戦中には大発動艇を搭載できるよう改造された艦も存在しました。また、日本海軍はガダルカナル島の戦いで水上機母艦を高速輸送艦的に運用しました。

参考資料

• - 『アメリカ揚陸艦史』（「世界の艦船」2007年1月増刊）。
• - ハンソン・ボールドウィン『勝利と敗北 第二次世界大戦の記録』。
• - 吉本貞昭『世界が語る神風特別攻撃隊』。
• - デニス・ウォーナー『ドキュメント神風』。

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