高遠合戦

高遠合戦の詳細解説

高遠合戦は、天文13年（1544年）から天文14年（1545年）にかけて、信濃国高遠（現在の長野県伊那市高遠町）を中心に行われた、甲斐の武田晴信（後の武田信玄）軍と、信濃の国衆である高遠頼継軍との間の合戦です。

合戦の背景

1544年、武田晴信は信濃侵攻を開始し、宮川の戦いで高遠頼継を破り、高遠城に追い込みました。しかし、頼継は福与城主の藤沢頼親、信濃守護の小笠原長時の支援を得て反撃を開始します。これに対し、武田晴信は諏訪に兵を進め、高遠討伐の準備を始めました。

天文13年（1544年）の戦い

10月、武田軍は上原城に入城し、諏訪衆や板垣信方と合流。福与城に進軍しました。高遠・小笠原連合軍は荒神山砦に守備兵を配置して武田軍を迎え撃ちましたが、武田信繁軍の攻撃により砦は放棄され、松嶋原で武田軍の進軍を阻止しようとしました。しかし、武田軍の攻撃を食い止めきれず、頼継は諏訪に侵攻を試みます。武田晴信は敵の挟撃を避けるため、一旦甲斐に撤退しました。その後、頼継は武田方の屋敷を焼き払い、一時的に勢力を盛り返しました。

天文14年（1545年）の戦い

翌1545年4月、武田晴信は高遠攻略を本格化させます。福与城は小笠原氏の支援を受けやすい一方、高遠城は孤立していると判断した武田軍は、雨の中、杖突峠を越え高遠城を奇襲しました。不意を突かれた高遠軍は抵抗できず、頼継は城を放棄して逃亡。その後、武田氏に臣従することになります。

高遠城を陥落させた武田軍は、次に福与城を攻撃。小笠原軍の反撃や竜ヶ崎砦での激戦に苦戦しますが、同盟国の今川義元の援軍を得て、最終的には竜ヶ崎砦を陥落させました。福与城の藤沢頼親は武田軍の勢いを前に和睦を申し入れ、弟を人質として差し出し、福与城は焼却されました。これにより、諏訪南部の敵対勢力は一掃されました。

合戦の影響

高遠合戦は、武田氏の信濃侵攻における重要な転換点となりました。この戦いで武田氏は高遠を完全に支配下に置き、諏訪地方における勢力を確立しました。また、小笠原氏の勢力を大きく削ぎ、その後の信濃侵攻を有利に進める足掛かりとなりました。

高遠合戦での勝利は、武田氏が信濃国へ勢力を拡大する上で、非常に重要な出来事として位置づけられています。

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