宮川の戦い

宮川の戦い

宮川の戦い（みやがわのたたかい）は、天文11年9月25日（1542年11月2日）に信濃国宮川で行われた、甲斐の武田晴信軍と信濃の高遠頼継軍との合戦です。この戦いによって、武田家は諏訪郡における覇権を確立しました。

戦いの背景

1542年7月、諏訪惣領家の諏訪頼重は、武田晴信と諏訪庶家の高遠頼継の連合軍に攻められ降伏しました（桑原城の戦い）。頼重とその弟頼高は、同年7月21日に甲斐で自害し、この時、諏訪領は宮川以西を高遠領、以東を武田領とすることで合意がなされました。

しかし、諏訪惣領の地位を狙う高遠頼継は、宮川より西の諏訪郡しか手に入れることができなかったことに不満を抱き、同年9月10日、武田領に侵攻し上原城を攻略しました。さらに、諏訪上社の矢島満清、有賀遠江守、伊那郡箕輪の福与城主・藤沢頼親や、土豪の春近衆を味方につけました。

これに対し、武田晴信は9月11日、下諏訪衆、諏訪満隆、安国寺竺渓ら武田方の武将を援護するため、板垣信方に軍を預けて派遣しました。9月19日には、晴信自身も頼重の遺児である寅王を擁して若神子まで出陣し、自らの正当性を主張しつつ板垣隊と合流しました。

戦闘の経過

9月25日、武田軍は宮川まで進軍し、午後1時から3時頃に宮川橋付近（現在の安国寺前古戦場）で高遠軍と衝突しました。戦闘は午後5時から7時頃まで続き、高遠軍は頼継の実弟である高遠頼宗（蓮峯軒）ら700～800余人の死者を出し、敗走しました。

戦後の影響

武田軍は、守矢頼真と諏訪兄弟を案内役として、駒井高白斎らの軍勢を箕輪に進軍させ、福与城に迫りました。これにより、頼親は9月28日に降伏しました。さらに、9月29日に板垣信方が上伊那に侵入し、春近衆を圧迫しました。伊那衆や高遠方は壊滅的な打撃を受け、10月7日に諏訪西方が降伏、駒井高白斎が奉行となり諏訪大社の宝鈴を鳴らし、西方衆に武田への帰属を誓約させました。

1543年5月、晴信は上原城を修築し、板垣信方を諏訪郡代として在城させました。1544年10月には高遠頼継、藤沢頼親、小笠原長時らが武田に対し反旗を翻しますが、1545年4月の高遠合戦で武田軍に敗北し、武田家に従属することとなりました。

宮川の戦いは、武田氏による信濃侵攻における重要な戦いであり、その後の武田氏の勢力拡大に大きな影響を与えました。

参考文献

平山優『戦史ドキュメント 川中島の戦い 上』学習研究社、2002年。ISBN 978-4059011262。
笹本正治『武田信玄』ミネルヴァ書房、2005年。ISBN 978-4623045006。

関連項目

* 宮川村（長野県）

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