高野和馬

高野和馬：地方競馬デビューから調教助手への転身まで

1984年生まれの高野和馬氏は、競馬一家に育ち、2004年3月、美浦の小檜山悟厩舎所属騎手としてデビューしました。競馬学校20期生で、藤岡佑介、川田将雅、吉田隼人、津村明秀といったそうそうたるメンバーと同期です。

デビューは地方競馬の高崎競馬場で行われました。4番人気のコウテイノユメに騎乗し、中央・地方のトップジョッキーが参戦する中、見事初騎乗初勝利を飾ります。減量特典のない通常の斤量での勝利は、周囲を驚かせました。小檜山調教師は、高野氏の初騎乗に際し、特に指示を出さず「みんなと一緒にしっかり乗ってこい」と送り出したと語っています。このエピソードは、高野氏の持ち前の落ち着きと実力を物語っています。

JRAでは、デビューから1ヶ月半後の4月18日、福島競馬場での未勝利戦で初勝利を挙げます。しかし、減量騎手時代は3年間で平地での勝利は3勝と苦戦を強いられます。2006年8月には、のちに重賞馬となるアルコセニョーラに騎乗するも3着に敗れています。この経験は、高野氏にとって大きな学びとなったことでしょう。

減量が解除された2006年春、高野氏は小檜山厩舎を離れフリーの騎手となります。同時に、乗り鞍を増やすため、障害競走にも挑戦を始めます。同年12月には障害競走で初勝利を収め、以後、障害競走が中心となります。

2012年には、ミラクルオブレナで障害オープン競走を制覇するなど、年間5勝を挙げ自己最多勝利を記録します。同年、セイエイという馬とのコンビで、障害未勝利戦を制し、続く週には中山グランドジャンプに挑戦（7着）。セイエイとはその後も長きに渡りコンビを組み、春麗ジャンプステークスでは12番人気から勝利、東京ジャンプステークスでも3着に入るなど、数々の好成績を収めています。

毎年1勝以上を挙げていた高野氏ですが、2017年は未勝利に終わるという苦い経験もしています。しかし、2020年には12年ぶりに平地競走で馬券圏内（3着）に入るなど、最後まで騎手としての意地を見せました。

2024年2月29日付で騎手を引退し、栗田徹厩舎の調教助手として新たなキャリアをスタートさせました。

エピソード

デビュー当時、高野氏は目標を武豊騎手とし、「世界でも通用するようなジョッキーになりたい」と語っていました。

2005年には、堀江貴文氏所有のホリエモンに騎乗。数々のレースでコンビを組みました。あるレース後には、「3コーナーで行かなかったからダメかなと思いました。でも最後に伸びてきたので意外としぶとい馬だなと思いました」とコメントしており、高野氏の馬への深い理解と観察眼がうかがえます。

また、高野氏は、セントライト記念を制した北村宏司騎手らが結成したバドミントン部「セントライツ」のメンバーでもありました。卓球経験者である高野氏は、メンバーの中で最も腕前が良かったと伝えられています。

2010年には結婚。プライベートでも充実した日々を送っていたと思われます。

高野和馬氏のキャリアは、地方競馬での華々しいデビューから、JRAでの苦悩、障害競走への転向、そして調教助手への転身と、ドラマチックな展開を見せています。常に前向きに、そして努力を怠らなかった高野氏の今後の活躍にも期待がかかります。

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