高野山電気鉄道101形電車

高野山電気鉄道101形電車

高野山電気鉄道101形電車（公式にはデ101形）は、高野山電気鉄道に所属していた通勤形電車の一つです。かつての南海高野線高野下駅から極楽橋駅間を結ぶこの鉄道は、1928年に営業を開始し、その年6月に日本車輌製造本店でデ101形8両（デ101-108）と荷物室合造車であるデニ501形（デニ501・502）が製造されました。この電車は、50‰の急勾配と急曲線に対応するための特殊な装備が特徴です。

概要

開業当初は、架線電圧が直流1,500Vでしたが、1932年に南海鉄道との相互乗り入れに伴い、600Vに引き下げられました。これにより、101形も600V専用に改造されています。全鋼製の車体を持つこのデザインは、当時としては珍しいもので、リベットが多用され、山岳地帯での運行に適した頑強さを誇っていました。車体の長さは約15mで、重量は約36tに達します。

車体とデザイン

101形の外観は、特徴的な3枚窓と大きなヘッドライトが印象的です。「二ツ目玉」と呼ばれるそのヘッドライトは、険しい山を進む電車というイメージを引き立てています。側窓は1段下降式で、両運転台を装備した全室式のデザインも評価されます。また、荷物室側の非貫通のデザインが、実用性の側面でも工夫されていました。

主要機器

この電車に搭載されている主電動機はゼネラル・エレクトリック製のGE-281Aで、各台車に2基ずつ計4基が装備されています。この設計は、吊り掛け式であることが特長で、電動機の歯数比は62:24、すなわち2.58です。

制御器とブレーキ

919形は、日本初の電力回生ブレーキ搭載車両として知られています。AEG社製のAUR制御器を採用し、回生制動機能を持つ間接式制御が特徴です。この構造によって、ブレーキの成熟度が高まり、特に急勾配区間において有効でした。空気ブレーキには、クノール社製のAMF自動空気ブレーキが使用され、特に急勾配区間での安全性が重視されています。

変遷

高野山電気鉄道から南海電気鉄道へと受け継がれた101形は、南海鉄道難波-極楽橋間の主要な運行車両でした。1943年には堺東車庫の火災で一台が全焼し、復旧の際に半鋼製の車体に改造されるなど、様々な変遷を経ました。1946年には、近鉄に移籍しモハ561形に改名されましたが、その後再び元の社名に戻されました。

1949年、デ101形はモハ561形に改められ、運用が続けられました。1956年には、ブレーキおよび他の機材の改善が行われ、より安全かつ効率的な運行に貢献しました。1963年から1964年にかけて全車の更新修繕が行われた結果、外観が一新され、回生ブレーキが使用不能となりました。

最後の日々

1969年には、562および569の2両が水間鉄道に譲渡され、その後他の車両も1968年から1972年にかけて次々と廃車されました。全車両が解体された現在においても、991形は日本の鉄道技術史において重要な役割を果たした車両として知られています。残念ながら、保存車両は存在しませんが、その影響力は後の電車設計や技術に今なお色濃く残っています。

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