高雄市立高雄高級中学

高雄市立高雄高級中学 (KSHS) の概要

高雄市立高雄高級中学（Kaohsiung Municipal Kaohsiung Senior High School, KSHS）は、台湾の高雄市三民区に位置する公立の高級中学です。日本の新制高等学校に相当し、台湾では「雄中」という略称で親しまれています。この学校は、1922年に日本統治下の高雄州において、高雄中学校として設立された歴史ある学校です。

当初は男子校でしたが、1986年に音楽コースが設置された際に男女共学となりました。しかし、一般コースは依然として男子のみが入学可能であり、共学化された音楽、体育、理科コースにおいても女子生徒の割合は少ない状況です。

教育面では、台湾の教育省が主導する科学教育プログラムを実施しており、2009年からは国立中山大学と連携しています。また、戦後の台湾における化学教育の中心的な役割も担ってきました。国際教育交流にも力を入れており、生徒が海外の高校生と交流する機会も提供しています。

キャンパス内には、二・二八事件の際に弾痕が残る赤レンガの建物など、日本統治時代の歴史的建造物が残されており、その美しい景観から休日には多くの観光客が訪れる名所にもなっています。

校歌

日本統治時代

作詞・作曲：不詳

たいえいの水　めぐらすところ
黒潮におう　ことぶきの
山は常緑（ときわ）の　精をうけ
水は清てつの　粋を汲む
その名も　高雄鳳雛（ほうすう）の
健児集（つど）えり　我等が母校
高中　高中　譽あり

昂(こう)たり高中

現在

作詞：蔡鎮、作曲：顏廷階。
メロディーは日本統治時代のものとは異なります。

校訓

日本統治時代

正式な校訓は定められておらず、歴代校長が卒業アルバムに記した言葉が用いられていました。初代校長の吉川祐戒は「勤倹誠実」や「温故而知新」といった言葉を記しています。

戦後

戦後初期には、校長が不在であったため校訓の制定が遅れました。1948年に王家驥校長が着任して以降、「自強不息」が校訓となり、精神面での目標として「実事求是，精益求精」が掲げられました。これらの校訓と目標は現在も使用され、校内の様々な場所で見ることができます。

歴史

日本統治時代

1922年2月6日、台湾総督の田健治郎が第二次台湾教育令を公布し、日本人と台湾人が共に学ぶ日台共学制度を中等教育以降で導入しました。これに伴い、台湾初の国立中等学校が設立されることになりました。当初は屏東に建設される予定でしたが、火災のために高雄の旧市街に建設されることになりました。

同年4月1日、「高雄州高雄中学校」（略称「高中」）として開校。生徒は主に小学校や公学校から募集されました。初代校長の吉川祐戒は、東京帝国大学で哲学を学んだ人物であり、彼の学校経営は、従来の帝国主義的な教育とは異なるものでした。彼は、大正期の左翼思想の影響も受けていました。

1931年8月31日、西卷南平が校長に就任し、質素な校風を確立し、台湾人の若者も広く受け入れました。1935年4月の記録では、生徒の20%以上が台湾人でした。その後、西卷は台湾総督府の命令により辞職し、帰国しました。同時期には、教員であった考古学者の土屋恭一が、校内から台湾原住民の遺物を発掘し、寿山地区で考古学調査を開始しました。

1937年4月1日、本田喜八が校長に着任。日中間の盧溝橋事件の影響で、生徒の間に対立が生じました。

学校周辺は日本統治時代に急速に発展し、三塊厝駅が開業、1941年には2代目高雄駅が開業しました。

1944年4月、左営区に第二中学校が設立されると、高雄中学校は「高雄州高雄第一中学校」（高雄一中）と改称されました。

戦後

第二次世界大戦後、高雄一中は「台湾省立高雄第一中学」に改称されました。

二・二八事件

1947年2月28日に発生した二・二八事件では、高雄一中も事件に巻き込まれました。学生団体が集まり、一部の生徒は武装集団を組織しようとしました。当時の校長である林景元は、生徒の安全を確保するために授業の中断を発表しました。同年3月6日には、軍による攻撃を受けました。

事件後、林景元は教育局から責任を問われ、異動を命じられました。その後、高雄二中の校長であった林一鶴が高雄一中の校長となり、両校が統合され、「台湾省立高雄中学」となりました。

事件後から現在まで

1948年、王家驥が校長に就任し、教育環境と教師の質の向上に努めました。彼は『台灣省立高雄中學校刊』と『雄中青年』を創刊し、高雄中学は科学教育学校に指定されました。1970年には「台湾省立高雄高級中学」に改称されました。

1972年に校長に着任した熊惠民は、学生と対立することもありましたが、後に理解し合えるようになり、『雄中導報』を創刊し、弘毅樓（会議場）、工芸館、物理館などを建設しました。

1977年には台風の影響で校内の建物が被害を受け、1979年に高雄市が直轄市に昇格した際、現在の名称である「高雄市立高雄高級中学」に改称されました。

1980年、朱迺武が校長に就任。1986年には音楽コースに女子生徒が入学し、男女共学校となりました。また、1989年には土曜日の私服通学が解禁されました。1983年には韓国の尚文高等学校と姉妹校となり、交換留学を開始しました。

1988年には生徒会が設立され、生徒会長と副会長が生徒によって選出されるようになりました。

1991年、師蔚霞が校長に就任。1992年には体育コースが開設され、1995年には陸上競技用トラックとプールが完成しました。

1995年、朱迺武が再び校長に就任。赤レンガの講堂の取り壊しは物議を醸しました。

1999年、潘輝雄が校長に就任し、情報教育や人文・地域教育に取り組み始めました。

2006年、黃秀霞が校長に就任し、「全人教育」を掲げました。2007年には高雄市立歴史博物館と協力して展示会を開催し、文化・芸術イベントの「紫檀花文芸季」を開催しました。

2013年、謝文斌が校長に就任。2015年には宮崎県立宮崎大宮高等学校と姉妹校協定を締結しました。この協定には、高雄中学出身で宮崎大宮高等学校を卒業した河野昭氏が貢献しました。

2020年、謝文斌の昇進に伴い、顏銘賢が代理校長に就任し、2021年には莊福泰が校長に就任しました。

歴代校長

吉川祐戒：1922年4月1日
西卷南平：1931年8月31日
本田喜八：1937年4月1日
大森丈之助：1941年8月26日
松井實：1943年3月31日
陳啟清：1945年10月25日
林景元：1945年12月12日
林一鶴：1947年2月
王家驥：1948年9月1日
熊惠民：1972年9月1日
朱迺武：1980年8月30日
師蔚霞：1991年2月1日
朱迺武：1995年2月1日
潘輝雄：1999年8月1日
黃秀霞：2006年9月1日
謝文斌：2013年8月1日
顏銘賢：2020年8月24日（代理）
莊福泰：2021年8月1日

キャンパス

建物

日本統治時代には、赤レンガの校舎が建てられました。同時期に建設された教室、兵器室、体育館、プール、講堂も同様に赤レンガ造りでした。戦後、老朽化が進んだため改築・新築が進められ、平屋の4号館、3号館2階、第4～7号館などが建設されました。その他、教育棟、職員寮、音楽ホール、工芸ホール、アートギャラリー、総合教育棟、集団教育活動棟、体育館、図書館も改築・改装が行われました。

熊惠民校長の時代には、会議場の弘毅樓や工芸館、物理館などが建設されました。

敷地西側の職員寮は、1971年に高雄高級工業職業学校から引き継いだものです。

赤レンガの校舎

学校のシンボルである赤レンガの校舎は「紅樓」と呼ばれています。1号館・2号館・3号館で構成され、3号館の2階は戦後に増築されました。2003年、高雄市は赤レンガの校舎を文化財に指定しました。近年、学校は校舎の維持管理に積極的に取り組んでおり、現在第1～3号館を修復しています。

赤レンガの1号館・2号館・3号館は、左右対称の四角い構造で、中庭で隔てられています。片側廊下、高い室内空間、長方形の窓により、明るく換気しやすい構造になっています。イギリスのヴィクトリア朝時代のデザインの影響を受けており、折衷的なデザインが特徴です。煉瓦はイギリス積みで積み上げられ、鉄筋コンクリートの柱や梁で補強されています。

正面は、突き出たポルチコと平坦な廊下で構成されています。ファサードはシンプルなジャックアーチ型で、階段の端の部分のみラウンドアーチとしています。内装は細部にまでこだわっており、階段吹き抜けの窓は大きく、手すりは丸みを帯びた本体と直線的な柱で構成されています。階段の滑り止めは真鍮製で、日本統治時代の雨樋も真鍮製でした。

脚注

[参考文献]

関連項目

台湾の高級中学一覧
大阪府立清水谷高等学校

外部リンク

* 高雄中学公式サイト

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