唐楽

唐楽の概要

唐楽（とうがく）は、雅楽の一派であり、中国の唐代から日本に伝わった音楽を指します。この音楽の形式は、9世紀以降に発展した左方唐楽を含んでいます。現代において、一般的に雅楽というと唐楽が最も強くイメージされますが、実際には雅楽には高麗楽や催馬楽、朗詠、東遊など多様なジャンルがあります。

唐楽の起源と歴史

唐楽が初めて日本で演奏されたのは、大宝2年（702年）のことで、当時の天皇が大極殿で群臣を招き、五常楽や太平楽を奏したとされています。その後も、遣唐使などが音楽を日本に持ち帰ったことで、唐楽は広まっていきました。日本の唐楽は、中国の宗廟の音楽であった雅楽とは異なり、主に宮廷の宴席で演奏される燕饗楽を中心に発展しました。

演奏には、横笛、合笙、簫、篳篥、尺八、箜篌、箏、琵琶、方響、鼓など多くの楽器が使用され、優雅で華やかな旋律を特徴としています。唐楽の舞楽は、弦楽器を用いずに管楽器と打楽器を使い、明確な拍子で迅速に演奏されます。

音楽編成と演奏規模

職員令17によれば、唐楽における楽師は12名ですが、雅楽大属尾張浄足説によると、合笙師や簫師、鼓師、歌師など10人から構成されています。大同4年（809年）3月の記録では、さらに簫師と琵琶師が追加されることもありました。

『続日本紀』によれば、天平3年（731年）には雅楽寮の楽生（楽師）の人数が定められ、初めは大唐楽に39人が割り当てられましたが、養老令に基づいてこの人数は60人に増加しました。具体的な内訳としては、歌生や横笛生などが含まれ、多岐にわたる楽器奏者が協力して演奏を行います。

演技とその変遷

孝謙天皇の時代には、天平勝宝元年（749年）に、東大寺での礼仏読経とともに唐楽が演奏されたことが記録されています。また、天平宝字7年（763年）には、渤海使を迎える際にも唐楽が演奏されました。この頃、朝廷は安史の乱により中華との交易が困難になった状況を知ることになります。

平安時代になると、楽器編成や音楽理論、演奏様式が整備され、朝鮮三国の楽や渤海楽は高麗楽へと統合されました。その中で、唐楽と高麗楽が並べて演じられるようになり、唐楽は左舞として、高麗楽は右舞として呼ばれるようになります。

唐楽の楽曲

唐楽は非常に多くの楽曲を持ち、現在知られているだけでも110曲以上あります。現代での演奏曲は70数曲に上りますが、これらの楽曲は以下の3つのカテゴリに分類されます：
1. 管弦専用の曲
2. 舞楽専用の曲
3. 管弦・舞楽の両方で使用される曲

楽曲は、壱越調、平調、双調、黄鐘調、盤渉調、太食調の6つの音階に分かれ、さらに序拍子や早四拍子、延四拍子などのリズムで構成されています。これにより、唐楽は独自の美しい音楽文化を形成しています。

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