鬆

鬆（す）の解説

「す」は、均質であるべき物の中に空洞が生じる現象を表す和語です。古くは「巣」の字も用いられましたが、現在は「鬆」の字が主に用いられています。「鬆」の音読みは「ショウ」ですが、字源が松の葉の透き間という説は誤りです。「鬆」は形声文字で、松は音符に過ぎません。日常的にはひらがなで「す」と表記されることが多く、「すが立つ」「すができる」「すが入る」といった表現で使われます。また、このような状態を「すだち」とも呼びます。

様々な分野における「す」

料理・食材

大根やゴボウなどの根菜類、スイカなどの果実では、組織が外側に成長しすぎるなどによって内部に亀裂が生じ、「す」ができます。これにより見た目だけでなく、味や食感も変化し、商品価値が大きく低下するため、通常は出荷されません。冷蔵庫での保管中にも発生する可能性があります。スイカでは、熟し具合を叩いて音で判断しますが、「す」が入っていると音が鈍くなります。

豆腐などの煮すぎ、玉子豆腐や茶碗蒸しなどの蒸しすぎ、あるいは加熱方法の不備によっても「す」ができます。電子レンジでの再加熱でも同様です。これは、内部の水分が沸騰し、水蒸気が外に出られないために気泡が生じるためです。表面に気泡ができる場合も「す」と呼ばれます。

パンやケーキのスポンジでは、酵母やベーキングパウダーによって意図的に気泡を作りますが、均一でない大きな気泡が入ることを「す」と呼ぶ場合があります。中国語では、蒸しパンやスポンジケーキを「鬆糕」（ソンガオ）と呼びますが、これは「すが入った菓子」ではなく「ふわふわの菓子」という意味です。

また、料理が見た目には変わらないまま内部から腐敗・変質していく様子も「す」が立つと表現されることがあります。これは「す」と酸敗が混同されている可能性があります。

鋳物

鋳造では、溶けた金属を鋳型に流し込み冷却・凝固する際に、空気などのガスが内部に閉じ込められて空間が生じます。これも「す」と呼ばれ、鋳物製品の強度を低下させます。使用に支障がない場合もありますが、重大な影響が懸念される場合は非破壊検査が必要です。

その他

料理用語としての「すがたつ」は、料理講座受講者の理解度が低いという調査結果もあります。中国語の簡体字では、「鬆」は「松」と表記されます。

関連用語

気孔 (材料工学)
骨粗鬆症

「す」は、一見単純な言葉ですが、様々な分野で用いられ、その意味合いも微妙に異なることが分かります。それぞれの分野における「す」の発生原因や影響を理解することで、より質の高い製品や料理を作ることができるでしょう。

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