鬼城 (地理学)

鬼城（きじょう）: 中国のゴーストタウンの実情

鬼城（きじょう）という言葉は、中国語でゴーストタウンを指し、無人化した廃墟や都市に関連しています。この言葉は、特に中国において、不動産投資と開発の失敗により、未完成のまま放置されることになった地域や、人々が入居する前に取り壊された都市を指すことが多くなっています。

鬼城の語源と意味

「鬼」という字は、幽霊や亡霊を示し、忌み言葉として扱われる一方で、「城」は都市や町を意味します。この二つが結びついて、無人の幽霊のような都市を表現しています。中国政府が行った急速な地域開発がこの現象の主な原因であり、特に1990年代末から2000年代初頭にかけての経済成長期に顕著に現れました。

高度経済成長と鬼城の誕生

中国の改革開放政策の後、政府は地域開発計画を推進し、新たな鉄道や空港を設立しました。この過程で、地方政府は土地使用権を売ることを財源とし、不動産開発を急速に進めました。しかし、この土地の接収はしばしば強引に行われ、時には人権侵害として批判を受けることもありました。物理的に住む場所がなくなるほどの住宅開発が進行する中で、高層集合住宅が次々と建設され、それによって生じた投資の熱狂は「史上最大のバブル」と呼ばれています。

投資目的の住宅と実状

中国は社会主義国家であり、土地は公有制のものであるため、固定資産税がない特異な状況があります。このため、土地や住宅は投機的な資産として扱われやすくなっています。多くの高層住宅は、将来の価格上昇を期待した投資目的で購入されますが、実際に居住しているのはごく一部の住民のみです。そのため、多くの住宅は空室のままとなり、実質的な生活感が全く感じられません。居住者が内装工事を行うことが一般的なため、壁はむき出しの状態で電気も点灯しない室内が目立ちます。

鬼城の具体例

代表的な鬼城の地域は、内モンゴル自治区のオルドス市にある康巴什新区や、杭州市郊外の天都城です。しかし、実際には中国国内に数多くの鬼城が存在しています。オルドス市は、100万人都市としての計画があったにもかかわらず、実際の居住者がわずか3万人程度にとどまっていますにもかかわらず、住宅価格は上海市と同程度に高騰しています。これによって、同市は「世界最大のゴーストタウン」として知られるようになりました。

また、広東省の『時代週報』は2013年に、オルドス市を含むいくつかの地域を鬼城の問題として取り上げました。これには、清水河県や河南省の鄭東新区、遼寧省の営口市などが含まれています。

さらに、鬼城は中国国内だけでなく、海外にも広がっています。マレーシアのフォレストシティや、アンゴラのキランバ新都市は、中国企業によって開発された海外の鬼城の一例とされています。

結論

鬼城は、中国の急速な経済成長と不動産投資の行き過ぎが生み出した現象であり、今もなおその影響を多くの地域にもたらしています。この問題は、多岐にわたる社会的、経済的な側面を持ち、今後何らかの解決策が求められる課題といえるでしょう。

もう一度検索