魔の刻

『魔の刻』

概要

『魔の刻』（まのとき）は、1982年に北泉優子が発表した小説を原作とし、1985年に公開された日本の映画です。R-15指定を受けており、禁断の母子関係がテーマに取り上げられる衝撃的な作品となっています。映画化にあたっては、いくつもの企画が失敗に終わりながらも、ついに実現を果たしました。

スタッフとキャスト

この映画は、降旗康男が監督を務め、北泉優子自身が原作を提供しました。脚本は田中陽造が手がけ、撮影を木村大作が担当。豪華なスタッフ陣が揃い、映画製作に取り組みました。キャストには、主演の岩下志麻と坂上忍が起用され、濡れ場シーンが特に注目を浴びました。また、共演には岡本かおり、伊武雅刀、山田辰夫などが名を連ねています。

制作背景

北泉優子の小説は、出版当初から大きな反響を呼びました。それを受けて、東映は映画化権を早くから取得しましたが、何度も制作が中断される事態が続きました。しかし、1984年になり、東映社長の岡田茂が「元さえ取れればいい」との発言をし、実際に映画化に向けた作業が進展しました。岩下志麻は、母親役を強く希望し、作品に深い思い入れを持っていました。

撮影

映画の撮影は、神奈川県の三崎漁港周辺で行われました。低予算かつ厳しいスケジュールの中で、スタッフは日帰りで撮影を進め、合計20日間にわたって撮影が行われました。製作費は2億円とされ、制作過程は多忙を極めました。

興行評価とR指定

映画は、ヌードや過激な性描写がそれほど多くなかったにもかかわらず、映倫からR指定を受けました。特に母子相姦という禁忌に対する抵抗感から、一般映画としての位置づけが難しくなりました。この状況は、当時隆盛を誇った坂上忍の人気にとって逆風となり、若い観客層をターゲットにした映画戦略にも影響を与えました。

作品の評価

『魔の刻』に対する評価は賛否が分かれます。映画評論家の白井佳夫は「パターン通りの部分とリアルな要素が交じり合った不思議な作品」と評し、藤枝勉は「母子相姦というテーマ自体が映画化に不適切であった」との意見を展開しました。また、岩下志麻の演技についても好評の一方で、上手すぎることに対する嫌悪感を示す声もありました。

まとめ

『魔の刻』は、ただのエンターテインメントを超えた複雑なテーマを扱いながら、さまざまな反響を呼んだ作品です。その影響力は、今でも記憶されているといえるでしょう。

もう一度検索