鳥居清倍 (2代目)

二代目 鳥居清倍について

二代目鳥居清倍（1706年 - 1763年）は、江戸時代中期に活躍した浮世絵師であり、鳥居派の二代目として知られています。初代鳥居清信の門下に入り、後にその娘婿となったことで、鳥居家の画風を継承しました。

生涯と画業

二代目清倍は、初代清信から直接指導を受け、その画風を深く理解していました。初期には初代清倍の作とされる作品も存在しますが、これらは複数絵師の手によるものとの説もあります。特に、享保3年から7年の間に描かれた「清倍」の落款を持つ役者絵は、画風や落款が多様であり、複数の絵師が関与していた可能性が指摘されています。かつては二代目鳥居清信と同一人物とされていた時期もありましたが、現在では否定されています。

二代目清倍は、初代清信の画風を基盤としつつも、独自の表現を追求しました。役者絵においては、丹絵、紅絵、漆絵、紅摺絵といった様々な技法を駆使し、その時代の役者たちの姿を鮮やかに描き出しています。また、美人画にもその才能を発揮し、優美な女性像を表現しました。さらに、浮絵にも取り組み、「近江八景」シリーズは彼の代表作の一つとして知られています。

作風の特徴

二代目清倍の作品は、鳥居派の伝統的なスタイルを守りながらも、より繊細で洗練された表現が特徴です。役者の表情や衣装の描写には、彼の卓越した技術と観察眼が表れています。また、色彩感覚にも優れ、丹絵や紅摺絵の鮮やかな色彩は、見る者を魅了します。彼の浮絵作品は、遠近法を巧みに用いて奥行きのある空間を表現しており、当時の人々に新鮮な驚きを与えました。

主な作品

「二代目市川団十郎と市川升五郎」：細判漆絵。城西大学水田美術館所蔵。
「瀬川菊次郎の四季のおどり」：細判漆絵。城西大学水田美術館所蔵。
「荻野伊三郎の曽我五郎」：細判漆絵。大英博物館所蔵。享保17年（1732年）の江戸中村座の舞台を描いたもの。
「瀬川菊次郎のおくま」：細判漆絵。ホノルル美術館所蔵。元文2年（1737年）の江戸中村座の舞台を描いたもの。
「瀬川菊次郎のお菊」：細判漆絵。城西大学水田美術館所蔵。元文4年（1739年）の江戸中村座の舞台を描いたもの。
「市川海老蔵の目黒不動・市川団十郎のこんがら童子・中村伝九郎のせいたか童子」：大判紅摺絵。東京国立博物館所蔵。宝暦5年（1755年）の江戸中村座の舞台を描いたもの。

これらの作品は、当時の歌舞伎の様子や役者の姿を現代に伝える貴重な資料となっています。

門人と後世への影響

二代目清倍の門人には、鳥居清満がおり、一説には鳥居清広も彼の門人であったとされています。彼の画風は、後世の浮世絵師たちにも大きな影響を与えました。

墓所

二代目清倍の墓所は、東京都豊島区の染井墓地にあり、法名は清巌院宗林日浄信士です。享年58歳でした。

まとめ

二代目鳥居清倍は、初代清信の画風を継承しつつ、独自の表現を追求した浮世絵師です。役者絵や美人画、浮絵など、多様なジャンルでその才能を発揮しました。彼の作品は、江戸時代の文化や人々の生活を今に伝える貴重な遺産であり、その芸術性は今日においても高く評価されています。

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