鳥養部

鳥養部（とりかいべ）についての詳細

鳥養部（とりかいべ）は、大化の改新以前において、朝廷からの要請を受けて鳥取部が捕獲した鳥類を飼育・養育する役割を担っていた部族です。この部族は、しばしば「鳥甘部」とも呼ばれることがあります。特に愛玩用の水鳥を捕まえる職業である鳥取部についても詳しく触れたいと思います。

概要

鳥養部は、鳥取造（ととりのみやつこ）の統括の下で活動していました。「鳥取部」は水鳥の捕獲を行い、その後、捕まえられた鳥を育てるのが「鳥養部」の役目でした。中央の上級官の称号は「造」で、後には「連」という称号が用いられました。一方、下級官は「臣」や「直」、または「造」といった姓が見受けられました。鳥養部の起源は、天湯河桁命の子孫である鳥取造や鳥取連にあるとされ、少彦根命も鳥取連の祖と同一視されています。

また、文献によると、「鳥取部」は古代の各国、特に武蔵国、美濃国、出雲国、備中国などで確認でき、各地の郷や神社名としても見られます。一方で、「鳥養部」は主に大和国に存在し、そこからさらに軽や磐余地域、さらには摂津国や筑前国など、多くの地域に広がったと考えられています。

由来と伝説

『古事記』によると、垂仁天皇の時代、本牟智和気王が母の死に対して心の傷を抱えていたため、言葉を発しない時期が続いていました。しかし、船遊びの際には鳥の声を聞いたことで、自然と口を開くきっかけが生まれました。この出来事を受け、鳥を捕まえるための命令が出され、最終的には捕獲された鵠が天皇の夢に関連して神殿の建設が進められた歴史があります。これにより、鳥関連の職業部として「鳥取部」や「鳥養部」が設立されたと伝えられています。

『日本書紀』でも、同様の伝説が語られています。誉津別皇子が何も話せない時期を経て、鵠を見たことで初めて言葉を発する様子が描かれています。このように、古代のストーリーが「鳥養部」の成立に大きな影響を与えたことがわかります。

鳥養部の役割

鳥養部は、古代日本において特に重要な役割を果たしました。この部族は、愛玩用の水鳥を担当し、鳥の飼育や管理を専門に行うことで、朝廷や国家にとっての重要な資源を供給しました。様々な伝承において、鳥養部には特定の儀式や象徴的な意味合いも含まれていたと考えられています。特に、鳥に関する文化と習慣は、民族や宗教的儀式とも密に結び付いていたとされます。

鳥養部の歴史的背景

このような職業部の成立や役割は、当時の社会の構造とも深く関連しています。特に、職業部が活躍する時期は、天皇の権威や地域社会の構成が複雑化していた時代でした。鳥を捕獲することは一つの職業であり、その技術や知識は代々受け継がれる大切なものでした。さらに、朝廷との関係性が継続する中で、鳥養部と鳥取部が果たす役割は重要性を増していきました。

鳥養部に関する伝承と文化

一部の文献には、入れ墨が施された伝承があり、鳥養部のメンバーが特定の儀式や役割を担っていたことが記されています。これらの伝説は、鳥養部の存在意義や文化的背景を理解するために役立ちます。また、時代の変化とともに、職業の意味や社会的地位も変わっていき、鳥養部はその象徴的な役割から直接大きな影響を受けていました。

結論

鳥養部は、古代日本において重要な位置を占める職業部であり、捕獲した鳥の飼育・養育を通じて、文化的、経済的な側面で国家に寄与しました。また、その背後にある伝説や社会的背景は、他の職業部と同じく、歴史の一部として大きな意義を持っています。鳥養部の存在は、古代の職業や社会構造を考察する上で、欠かせない要素と言えるでしょう。

もう一度検索