造

造（みやつこ）についての詳細

「造」という姓は、日本古代において多くの氏族に見られるもので、その由来は一様ではありません。この姓を持つ氏族は、時代を通して中央の氏族グループの中で重要な位置を占めていました。特に、伴造（とものみやつこ）という中央貴族の役割を担っていた一族が多く存在しています。彼らは天皇や朝廷に関連し、さまざまな職業部に属していたことが知られています。

特に衣縫部や矢作部、馬飼部、鳥取造などの部が代表的であり、これらの部はそれぞれ異なる専門分野を持っていました。氏名に「部民名」や「職名」を冠することは、これらの部における伴造の役割を示しており、当時の社会における彼らの影響力を反映しています。基本的に、古代では国造や職業的部民のリーダーがこの姓を使用していたとされています。

この「造」という姓は「連」姓と比べると地位が若干低く、賜姓が行われたのも連姓よりも遅く、6世紀ごろであったと考えられています。実際に、「造」姓を名乗る氏族は約190にのぼり、中には天神や帰化人の後裔であると主張する者も少なくありません。

『日本書紀』の巻第二十九によれば、683年に天武天皇の命により、「造」姓を持つ有力な氏族たち（例：水取造、矢田部造、藤原部造など）は「連」姓が与えられました。次の年には八色の姓が制定され、「忍壁連」（刑部連）が3番目の宿禰に、秦造（はだのむらじ）が4番目の忌寸に賜姓されましたが、その後も「造」姓を持つ氏族は存続していきました。

このように、「造」という姓は日本古代の氏族形成や社会構造において重要な役割を果たしてきました。さまざまな部や職業部、さらには国家権力に関与する中で、造姓を持つ人々は、その影響力を行使し続けたのです。今なお、この姓に関する研究や関心は尽きることがなく、古代日本の歴史を知る手がかりとなっています。

参考文献

• - 『角川第二版日本史辞典』p922、編：高柳光寿・竹内理三、角川書店、1966年
• - 『岩波日本史辞典』p1103、監修：永原慶二、岩波書店、1999年
• - 『日本書紀』（五）、岩波文庫、1995年
• - 『日本書紀』全現代語訳(下)、講談社学術文庫、訳：宇治谷孟、1988年

関連項目

• - 氏姓制度
• - カバネ
• - 部民制

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