裕隆汽車

裕隆汽車（ユーロンきしゃ）とは

裕隆汽車は、台湾の裕隆グループに属する自動車メーカーです。本社は台湾北西部の苗栗県に位置しています。日産自動車との長年の提携関係を基盤とし、台湾国内での自動車生産・販売において重要な役割を担ってきました。近年では、自社ブランド「ラクスジェン」の展開や電気自動車の開発にも力を入れています。

歴史

1953年、厳慶齢によって裕隆機器製造有限公司として設立されました。当初は自動車部品の製造を行っていましたが、1957年に日産自動車との技術提携を開始し、自動車製造へと事業を拡大しました。1960年には社名を裕隆汽車製造有限公司に変更し、本格的な自動車メーカーとしての道を歩み始めました。

1986年には、台湾初の国産車となる「飛羚101」を発表しました。この車両は日産のT11型バイオレットリベルタ/オースターJX/スタンザFXをベースに開発され、台湾の自動車産業における大きな一歩となりました。

1990年代後半には、東南アジアや中国本土市場へ進出しました。1999年にはフィリピン日産自動車への投資を行い、東南アジア市場への足がかりを築きました。また、中国本土市場へは、2000年に東風汽車との合弁会社を設立することで参入しました。この合弁会社は、日産自動車との提携関係を通じて、「藍鳥」（日産・ブルーバード）の生産を引き継ぎました。

2000年代に入ると、日産自動車との提携関係を維持しつつ、新たなブランド展開や海外市場での事業拡大を積極的に進めました。2000年にはルノー車の販売を開始、2005年にはゼネラルモーターズ（GM）との合弁会社を設立し、GMブランドの車両販売も開始しました。しかし、2008年にはGMが合弁会社から撤退しました。

2009年には、高級ブランド「ラクスジェン」を発表し、自社ブランド戦略を強化しました。また、吉利汽車との提携により、小型車や電気自動車の共同開発にも乗り出しました。

2010年代には、東風汽車との合弁事業を再開し、中国市場での「ラクスジェン」ブランドの展開を進めました。しかし、2021年には東風汽車との合弁事業を再編し、中国市場から撤退しました。

近年では、鴻海精密工業との共同開発により、初の自社製電気自動車「ラクスジェン N7」を発表しました。これにより、電気自動車市場への本格参入を果たしました。

ブランド一覧

裕隆汽車は、長年にわたり様々なブランドの車両を生産・販売してきました。以下に主なブランドをまとめます。

裕隆自社ブランド
ユーロン（Yue Loong / 裕隆）: かつて使用されていたブランド
飛羚（フィーリング）
精兵（アレックス）
尖兵（セントラ）
青鳥/吉利/吉利青鳥（Bluebird）
雷鳥（Datsun Truck）
凱利（Cony）
速利（Sunny）
萬利（Auster/Violet）
樂利（Laurel）
快得利（Stanza）
勝利（Cedric/Gloria）
寶馬（Bobby）
福滿多（Vanette）
好馬/超級好馬/好馬747（Homer）
頂好（Sunny）
ラクスジェン（Luxgen / 納智捷）
ラクスジェン・M7ターボ
ラクスジェン・U7ターボ
ラクスジェン・U6ターボ
ラクスジェン・S5ターボ
ラクスジェン・5セダン　M+
ラクスジェン・S3
ラクスジェン・U5
トービー（Tobe / 酷比）: 2013年に廃止
tobe・M'Car
tobe・W'Car
N7（鴻海製）
日産系ブランド
日産
インフィニティ
GM系ブランド
ビュイック
キャデラック
オペル

その他

裕隆汽車は、自動車販売店として「汽車生活館」を展開しています。この店舗は、日産ディーラーと隣接して営業しているケースが多く見られます。

また、関連団体として、プロバスケットボールチームの「裕隆納智捷籃球隊」を保有しています。

裕隆汽車は、台湾の自動車産業を牽引する企業として、今後も新たな技術やブランド展開に注力していくと考えられます。

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