鵜渡根島

鵜渡根島の概要

鵜渡根島（うどねじま）は、東京都新島村に属する無人島で、伊豆諸島の利島と新島の間に位置しており、独特の自然環境や歴史的背景を持っています。この島は、富士箱根伊豆国立公園内にあるため、その美しい風景や生態系が保護されています。

地理と特徴

鵜渡根島は、新島から北へ約4.5kmの距離にあり、面積は約0.3km²から0.4km²です。周囲は切り立った崖に囲まれ、平坦な土地はほとんど存在しません。この島は海底火山の噴火口の北縁に位置しており、火山島として知られていますが、噴火の記録はなく、主に流紋岩系統の岩石と火山灰で構成されています。ただし、ENにも玄武岩が含まれているとの記述もあり、島の地質の詳細は明確ではありません。

鵜渡根島の名称は、島内に祀られている鵜渡根后明神に由来しています。過去には「うとね」とも記載されています。

歴史的背景

江戸時代において、鵜渡根島は無人島として認識されていましたが、漁業権に関わる問題が発生しました。『新島村史　資料編１』や『伊豆七島文書を読む』によれば、当時の新島の集落間で漁業権に関する争いがあり、妥協案が提示されました。その結果、島南部の漁業権が若郷集落に与えられたとされています。さらに、北部の漁業権は利島側に存在していた可能性も指摘されています。

明治時代には、新島から数名の移住者が鵜渡根島に住み、主に養蚕を行って生活していました。彼らは島の頂上部に小さな小屋を作り、雨水に頼る生活を送っていたとされています。この島は、過去に人が住んでいたが無人島化してしまった数少ない記録に残る島の一つです。特に、鵜渡根島、鳥島、八丈小島の3つの島は、かつて人が居住していたものの、現在は無人島となっています。

現在の状況

今日、鵜渡根島には定住者はいませんが、近海は好漁場として知られています。釣り人たちは、尾長メジナやイシダイ、ヒラマサなど、豊富な大型魚が釣れるため、渡船を使ってしばしば訪れます。しかし、海況が悪く、実際に上陸できるのは年にわずか50回程度です。

さらに、御蔵島から利島に移り住んだミナミハンドウイルカが、鵜渡根島周辺や式根島、新島などにも生息しており、これもまた自然の魅力の一部と言えます。

鵜渡根島は、自然環境が豊かでありながら、過去の人々との関わりをも感じさせる貴重な場所です。これからも、その美しい景観や生態系が守られていくことが期待されます。

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