鶏林州都督府

鶏林州都督府の概要

鶏林州都督府（けいりんしゅうととくふ）は、唐の時代に新羅に設置された重要な統治機関です。この都督府は、唐が周辺の国々を征服した後にそれぞれの国に設置した統治制度の一環であり、新羅の管理を目的としていました。「鶏林」という名称は新羅を指し、時間と共に「朝鮮」とも称されるようになりました。唐は高句麗と百済を滅ぼし、その名残として、旧高句麗には安東都護府、旧百済には熊津都督府、新羅にはこの鶏林州都督府を所管し、朝鮮半島全域を藩属国からより直接的な統治に移行させました。

沿革

660年、唐は百済を征服し、その地域に熊津都督府など5つの都督府を設置しました。663年4月には新羅にも鶏林州都督府が設立され、これにより地域内に州や県が設けられました。新羅の文武王が最初の都督に任命されましたが、彼の支配は名目上のものであり、実際にはほとんど機能しませんでした。これは唐が新羅に対して直接的な影響力を行使しようとした結果として起きた羅唐戦争の影響によるもので、最終的に唐が敗北した際には、新羅の王にその地位を名ばかりで与える結果となりました。

その後、鶏林州都督府には16名の新羅王が任命されましたが、安史の乱の発生によって平盧節度使が山東半島に移され、その際に淄青平盧節度使と改名称されました。この変動により、節度使が鶏林州都督府を兼任することになりました。これにより、鶏林州都督府は新羅の内部政治にも強く関連した状態になりました。

歴代鶏林州都督

鶏林州都督府を務めた歴代の都督には、次のような人物がいました：

• - 金法敏：661年即位、663年冊封
• - 金政明：681年即位冊封
• - 金理洪：692年即位冊封
• - 金興光：702年即位冊封
• - 金承慶：737年即位、738年冊封
• - 金憲英：742年即位、743年冊封
• - 金乾運：765年即位、768年冊封
• - 金良相：780年即位、785年冊封
• - 金敬信：785年即位、786年冊封
• - 金俊邕：799年即位、800年冊封
• - 金清明：800年即位、805年冊封
• - 金彦昇：809年即位冊封
• - 金景徽：826年即位、827年冊封
• - 金悌隆：836年即位、837年冊封
• - 金明：838年即位（未冊封）
• - 金祐徴：839年即位（未冊封）
• - 金慶膺：840年即位、841年冊封
• - 金誼靖：857年即位（未冊封）
• - 金膺廉：861年即位、865年冊封
• - 金晸：875年即位、878年冊封

このように、鶏林州都督府は新羅の歴史において重要な役割を果たし、多くの王がその職責を担いました。

参考文献

• - 八幡和郎『誤解だらけの韓国史の真実』イースト・プレス、2015年。ISBN 978-4781650494。

この都督府制度は、唐と新羅間の複雑な関係を示す重要な歴史的事例であり、当時の政治状況を理解するための一助となります。

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