鶴田任男

鶴田任男：実業家から馬主へ、そして故郷への愛

鶴田任男（つるた たかお）氏は、1931年3月25日生まれの日本の実業家、政治家、そして馬主として知られています。2011年10月17日、80歳でその生涯を閉じました。戦後、福岡県で炭鉱に勤めた後、家業である瓦工業を継ぎ、その後は建築業にも進出。ホテルやパチンコホール経営など幅広い事業を手掛け、地元宮崎県三股町の発展にも貢献しました。1980年には三股町議会議員に当選し、2期8年に渡り地域社会に尽くしました。

多岐にわたる事業と地元への貢献

鶴田氏の事業活動は多岐に渡り、その手腕は高く評価されました。1973年には鶴田産業株式会社を、1977年には鶴丸観光有限会社を設立。1983年には都城サンプラザホテルを開業するなど、精力的に事業を展開しました。これらの事業を通して、地域経済の活性化にも大きく貢献したことは間違いありません。政治家としての活動も、地元三股町への深い愛情と、地域社会への貢献という強い意志に基づいていたものと考えられます。

競馬への情熱：馬主としての成功

しかし、鶴田氏を語る上で欠かせないのが、JRA登録馬主としての活動です。1987年12月に馬主資格を取得すると、その卓越した経営手腕と深い人脈を活かし、数々の名馬を所有することになります。勝負服は紫、黄山形二本輪、桃袖。冠名は「ツルマル」を用い、主に橋口弘次郎厩舎、坂口正則厩舎に預託していました。


鶴田氏と橋口弘次郎調教師は、ともに三股町出身ということもあり、親交が深かったと伝えられています。実家も近かったという二人の間には、信頼関係が深く根付いており、所有馬の管理や育成において、鶴田氏は橋口氏に全面的に委ねていたそうです。有名なツルマルミマタオーは、「三股町の名を全国に広げよう」という二人の共通の思いから名付けられました。同馬は1989年の阪神3歳ステークスで1番人気3着、翌年の東京優駿（日本ダービー）で4着に入るなど、活躍を見せました。

数々の重賞勝ち馬とGI制覇

鶴田氏の所有馬は数々の活躍を見せ、1994年にはツルマルガールが朝日チャレンジカップを制し、重賞初制覇を達成。そして2004年には、ツルマルボーイが安田記念を制し、GI競走初制覇という快挙を成し遂げました。ツルマルボーイは他にも金鯱賞、中京記念で優勝、宝塚記念では2着に入るなど、多くの重賞競走で好成績を残しています。


鶴田氏の馬主としてのこだわりは、馬名の命名にも見られます。最初は自ら命名していましたが、のちには調教師や担当厩務員に任せるようになったとのことです。所有馬のローテーションや騎手の起用、引退後の繁殖牝馬の配合に至るまで、鶴田氏は常に専門家の意見を尊重し、馬の育成と競走生活を最優先に考えていたことがうかがえます。


ツルマルレオンは、鶴田氏の死後、妻の鶴田鈴子が相続限定馬主として引き継ぎ、2013年の北九州記念を制覇。これもまた、鶴田氏の馬主としての成功と、その遺志の継承を示す象徴的な出来事と言えるでしょう。


鶴田任男氏は、実業家、政治家、そして馬主として、多方面で成功を収めました。その成功の裏には、地元への深い愛情、人々との深い信頼関係、そして何よりも競馬への揺るぎない情熱があったと言えるでしょう。彼の功績は、地元三股町のみならず、日本の競馬界においても長く語り継がれることでしょう。

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