鶴見町 (神奈川県)

鶴見町（つるみまち）

鶴見町は、1921年（大正10年）4月1日から1927年（昭和2年）4月1日まで存在した、神奈川県橘樹郡の町です。現在の横浜市鶴見区の南部に相当します。本項では、前身である生見尾村（うみおむら）の時代についても併せて記述します。

概要

鶴見町は、橘樹郡の中央部に位置し、現在の横浜市鶴見区の南部にあたります。鶴見川が町を流れ、東側には旧潮田町の区域、西側には生見尾村の区域が広がっていました。東海道が通過し、生麦事件の舞台となった生麦は漁村として知られていました。鉄道の開通や総持寺の移転により、鶴見は中心集落として発展しました。さらに臨海工業地帯の発展とともに、その玄関口として重要な役割を担いました。

地理

鶴見町には鶴見川が流れ、東側は旧潮田町の区域、西側は生見尾村の区域でした。

歴史

鶴見川を境に、東側は1925年に編入された旧潮田町の区域、西側が当初の生見尾村の区域でした。東海道が通過し、生麦事件の現場としても知られる生麦は漁村として有名でした。1872年に官設鉄道（現：東海道本線）が開業し鶴見駅が設置されると、鶴見が中心集落として成長を始めました。その後、臨海工業地帯が形成され、鶴見はその玄関口として発展しました。1911年に曹洞宗大本山の総持寺が移転してくると、鶴見は門前町の性格も持つようになりました。

鶴見川左岸の旧潮田町の区域は、鶴見川と多摩川が形成した沖積低地の自然堤防上に集落が点在する農村でした。1908年、浅野総一郎が中心となり鶴見埋立組合を組織し、横浜市神奈川地区から橘樹郡田島村にかけての海面を埋め立て、港湾機能を持つ工業用地を造成しました。1920年代以降、埋立地には多くの工場が集積し、京浜工業地帯の中核として発展しました。1925年には臨海工業地帯への通勤輸送を目的として海岸電気軌道が開業し、潮田町南部の都市化も進みました。こうした状況の中、1925年に潮田町が鶴見町に編入され、1927年には鶴見町が横浜市に編入、区制実施とともに鶴見区の一部となりました。

町村名の由来

生見尾村: 旧生麦村の「生」、旧鶴見村の「見」、旧東寺尾村の「尾」を合わせて「生見尾村」としました。
鶴見町: 中心地の地名から「鶴見町」としました。

沿革

1889年（明治22年）4月1日：町村制の施行により、生麦村、鶴見村、東寺尾村および馬場村の一部が合併し、生見尾村が成立。村役場を生麦の岸谷に設置。
1911年（明治44年）4月1日：子安村の一部（旧西寺尾村）を編入。
1921年（大正10年）4月1日：生見尾村が町制施行し、鶴見町となる。
1925年（大正14年）4月1日：潮田町を編入。
1927年（昭和2年）4月1日：横浜市に編入され、同日鶴見町は廃止。
1927年（昭和2年）10月1日：横浜市が区制を施行。旧鶴見町および西寺尾（旧子安村の一部）・師岡を除く旧旭村の区域が鶴見区となり、西寺尾・師岡は神奈川区の一部となる。

交通

鉄道

鉄道省（現：JR東日本）
東海道本線：鶴見駅
南武鉄道（現：JR東日本）
本線（現：南武線）：矢向駅
京浜電気鉄道（現：京浜急行電鉄）
本線：市場駅（現：鶴見市場駅） - 京浜鶴見駅（現：京急鶴見駅） - 総持寺駅（1944年廃止） - 花月園前駅（現：花月総持寺駅） - 生麦駅
海岸電気軌道（1937年廃線）
本線：総持寺 - 鶴見川 - 下野谷 - 潮田 - 入船 - 寛政 - 下新田 - 富士電機前
鶴見臨港鉄道（現：JR東日本鶴見線） - 貨物のみ営業
本線：安善通駅（現：安善駅） - 浅野駅 - 弁天橋駅
石油支線：安善通駅 - 石油駅（のち浜安善駅。1986年廃止、現在は安善駅構内側線扱い）

道路

東海道
京浜国道（現：国道15号）

運河

川崎運河

その他

神奈川県には、高座郡にも1889年から1891年まで鶴見村が存在していました。この村は後に大和村と改称し、現在の大和市北部に当たります。高座郡鶴見村は合併した旧下鶴間村と旧深見村からの合成地名であり、橘樹郡の鶴見町（または鶴見村）とは別の存在です。両者が同時に存在したことはありません。

関連項目

* 神奈川県の廃止市町村一覧

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