鶴見良行

鶴見良行について

鶴見良行（つるみ よしゆき、1926年4月28日 - 1994年12月16日）は、日本の著名なアジア学者および人類学者です。彼は、アジアの諸文化を深く理解し、それを通じて日本の学問界に新たな視点をもたらしました。鶴見は、外交官の家庭に生まれ、幼少期から国際的な環境で育ったことが、彼の後の研究に影響を与えたと言われています。

経歴と教育

鶴見は1926年にアメリカのロサンゼルスに生まれ、その後、ワシントンD.C.やポートランド、ハルビンなどで生活しました。第一高等学校の入試に失敗した彼は、東京外国語学校に入りますが、1年で退学。水戸高等学校を経て、1952年に東京大学法学部を卒業しました。1946年にはいとこである鶴見俊輔や鶴見和子が関与した雑誌『思想の科学』に参加し、コミュニケーション論を研究。戦後の日本における思想の中で自らの立ち位置を模索しました。

結核を患い療養生活を送った後、1955年から1986年にかけて国際文化会館に勤務しました。1965年、平和を促進する活動に取り組む「ベトナムに平和を!市民連合」にも参加し、アジア各国への渡航を重ねながら研究を深めました。1973年に設立されたアジア太平洋資料センターのメンバーとしても活躍し、独自のアプローチでアジア文化を探求しました。

1989年からは龍谷大学経済学部の教授として教鞭を執り、教育界にも貢献しましたが、1994年には執筆中の著作『ココス島奇譚』を残し、急逝してしまいました。

研究と業績

鶴見良行は、数多くの著作を通じてアジアの研究を大きく発展させました。特に、1982年の『バナナと日本人』や、1990年の『ナマコの眼』は彼の代表作として知られています。『ナマコの眼』は新潮学芸賞を受賞しており、彼の研究が評価された一例です。多岐にわたる著作があり、みすず書房から出版された『鶴見良行著作集』は1998年から2004年にかけて全12巻が刊行されました。

彼の研究は、食文化を通じて世界中の文化を比較する視点を持っており、鶴見自身も料理や写真の技術において高い腕前を持っていたとされています。また、彼の教えを受けた秋篠宮文仁親王と紀子妃は、結婚前の学生時代に鶴見の影響を受けたと言われています。

家族背景

鶴見良行は、外交官として活躍した父・鶴見憲の子として生まれました。鶴見憲はシンガポール総領事や陸軍司政長官をつとめた著名な人物です。また、いとこには哲学者・評論家の鶴見俊輔、社会学者の鶴見和子など、学術界で活躍する親族が多く、学問の名家と言えるでしょう。特に俊輔は、父の遺した日記の中で良行を評価しながらも、その業績に対して怒りを表明したエピソードが有名です。

結論

鶴見良行は、アジアの豊かな文化を探求した学者であり、その業績は今なお多くの人々に影響を与えています。彼の研究は、食をはじめとする文化の重要性を再認識させるものであり、アジア学の発展に多大な貢献を果たしました。

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