鷹司任子

鷹司任子（たかつかさ あつこ）

鷹司任子は、文政6年（1823年）に生まれ、嘉永元年（1848年）に26歳で亡くなった女性です。彼女は、後の江戸幕府13代将軍となる徳川家定が、まだ家祥と名乗っていた将軍世子時代に、最初の御簾中（正室）として迎えられました。

人物

任子は、関白鷹司政煕の二十三女として生まれました。その後、兄である関白鷹司政通の養女となり、家祥のもとへ輿入れしました。初名は有君といい、院号は天親院です。

文政11年（1828年）11月15日に家祥との間で納采が執り行われ、天保2年（1831年）9月15日には江戸城本丸に入りました。天保12年（1841年）11月6日に西御丸へ移り、同年11月21日（1842年1月2日）に婚儀が行われ、以後「御簾中様」と呼ばれるようになりました。

しかし、嘉永元年（1848年）6月10日、疱瘡のため26歳という若さでこの世を去りました。彼女は増上寺に葬られ、死後、従二位が追贈されました。戒名は天親院殿有誉慈仁智誠大姉です。

任子の死後、家祥は関白一条忠良の十四女である秀子を御簾中に迎えますが、秀子も半年余りで病死してしまいます。その後、家祥は将軍職を継ぎ家定と改名し、関白近衛忠煕の養女として薩摩藩から敬子（天璋院篤姫）を御台所に迎えることになります。

逸話

『井関隆子日記』には、任子が実は光格天皇の皇女であり、鷹司家の養女となったという記述がありますが、これを裏付ける他の史料は確認されていません。

関連作品

漫画『大奥』（よしながふみ）：作中では「鷹司任親」として登場します。

参考文献

「徳川幕府家譜」（『徳川諸家系譜』第1巻、続群書類従完成会）
「幕府祚胤伝」（『徳川諸家系譜』第2巻、続群書類従完成会）
秋元茂陽『徳川将軍家墓碑総覧』（パレード、星雲社、2008年）

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