鹿児島交通知覧線

知覧線

知覧線は、かつて鹿児島県の日置郡阿多駅から川辺郡知覧町を結んでいた、鹿児島交通の鉄道路線です。1965年に廃止されましたが、地域の足として重要な役割を果たしました。

路線データ

路線距離: 阿多 - 知覧間 16.3km
軌間: 1067mm
駅数: 11駅（起終点駅を含む）
複線区間: なし（全線単線）
電化区間: なし（全線非電化）

運行形態

最盛期には、加世田駅と知覧駅の間で枕崎線直通列車が1日に5往復、阿多駅と知覧駅の間で4往復の旅客列車と貨物列車が運行していました。薩摩川辺駅では列車交換が行われていました。

しかし、乗客の減少と合理化により、1961年のダイヤ改正から廃止までは、加世田駅 - 知覧駅間に2往復の旅客列車と1往復の貨物列車のみが運行するようになりました。

特筆すべきは、枕崎線直通列車が阿多駅で進行方向を変えて運転していた点です。

歴史

知覧線の歴史は、以下の通りです。

1922年（大正11年）5月30日: 鉄道免許状が交付される（日置郡阿多村大字宮崎-川辺郡知覧村大字九日田間）。
1923年（大正12年）7月22日: 薩南中央鉄道株式会社が設立される。
1924年（大正13年）6月9日: 鉄道免許状が交付される（川辺郡知覧村-指宿郡頴娃村間）。
1927年（昭和2年）6月1日: 阿多 - 薩摩川辺間が開業する。
1928年（昭和3年）
7月31日: 川辺郡知覧村-指宿郡頴娃村間の鉄道免許が失効する。
9月1日: 新田駅（後の東阿多駅）が開業する。
1930年（昭和5年）11月15日: 薩摩川辺 - 知覧間が開業する。
1933年（昭和8年）10月15日: ガソリン動力併用が開始される。
1943年（昭和18年）4月2日: 南薩鉄道が薩南中央鉄道を吸収合併し、知覧線となる。
1964年（昭和39年）9月1日: 南薩鉄道が三州自動車と合併し、鹿児島交通に社名変更される。
1965年（昭和40年）
7月3日: 水害により全線が不通となる。
11月15日: 阿多 - 知覧間が廃止される。

建設の経緯

知覧線の建設にあたり、当初は加世田駅を起点とする計画がありました。しかし、当時の加世田駅は南薩鉄道の終点であり、多くの旅客・貨物が集まる拠点として繁栄していました。一方、加世田駅のすぐ北にある阿多駅は、駅間距離が短く、将来的に国鉄に買収された際に廃止されることを懸念した阿多の住民が、分岐駅になることを誘致しました。また、加世田駅から知覧方面へ直接線路を引く場合、万之瀬川を渡る必要がありましたが、阿多駅を分岐点とすることで、その必要がなくなりました。架橋を避ける目的もあったと考えられています。

駅一覧

知覧線廃止時の駅一覧は以下の通りです。

阿多駅
東阿多駅
薩摩川辺駅
上山田駅
川辺高校前駅
清水岩屋駅
大堂津駅
中福良駅
霜出駅
郡元駅
知覧駅

全駅が鹿児島県に所在していました。

輸送・収支実績

詳細な輸送・収支実績については、鉄道統計資料や鉄道統計各年度版を参照してください。

参考文献

谷口良忠「鹿児島交通・南薩鉄道」『鉄道ピクトリアル』No. 1731965年7月臨時増刊号：私鉄車両めぐり6, 1965, 83-98, 104-106。
今尾恵介（監修）『日本鉄道旅行地図帳』12号九州・沖縄、新潮社、2010年、50頁。

関連項目

日本の廃止[[鉄道路線一覧]]
廃線

外部リンク

轍 ・ 03/05/02 (2) - archive.today
廃線跡紀行7 - archive.today
* 五万分一地形圖 （スタンフォード大学ライブラリ） - 明治35年測量・昭和7年要部修正測量及同修正縮図（参謀本部）


以上が、知覧線に関する詳細な情報です。

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