鹿児島座

鹿児島座について

鹿児島座（かごしまざ）は、かつて鹿児島県鹿児島市の繁華街である天文館に存在した商業劇場であり、九州地域の文化の中心的な役割を果たしていました。1912年に完成し、翌年1913年の元日にはいよいよ開場を迎えました。当時、この劇場は九州最大級の規模を誇り、収容人数は1300名に達しました。

設立と初期の業績

鹿児島座は株式会社として設立され、初代社長には弁護士である永井作次氏が就任しました。設立時の資本金は10万円で、劇場の総工費は5万6000円という大規模なものでした。劇場は現在の天文館G3アーケード、具体的には森永パチンコの近くに位置していました。

この劇場は、九州初の専属少女歌舞伎団である「若葉会」を抱え、その後も東京から著名な芸人たちを招いて多彩な興行を行ないました。演目には歌舞伎や新派、浪曲、義太夫、講談、落語、奇術など様々なジャンルが含まれていました。特に、松本幸四郎（7代目）、中村鴈治郎（初代）、市川左團次（2代目）、松井須磨子などの名優が登場し、観客に感動を与えていました。

さらに、鹿児島座では活動写真（映画のこと）も上映され、実演との組み合わせによる「連鎖劇」という新しい形態が話題を呼びました。これにより、観客は新しい娯楽の形を楽しむことができました。

短い栄光の後に

しかし、鹿児島座の繁栄は長く続くことはありませんでした。開場からわずか6年後の1917年12月、会社は業績不振により解散しました。その後、東京在住の宇都宮金之丞が2万円で買収し、「鹿児島劇場」として存続することとなります。新しい運営者の下で、劇場は再び活気を取り戻そうとしましたが、1919年1月12日の火災が運命を大きく変えることになります。

この火災は、隣接するパン屋から出火し、鹿児島座に引火したものであり、劇場はわずか20分足らずで焼け落ちてしまいました。その後、再建の試みもされず、わずか6年の間に活動を終えました。

現在の状況

近年、鹿児島座が存在していた場所には、城山VOプラザビルが建てられ、その中には森永パチンコの後身となる「MORiNAGA天文館本店」が入居しています。また、鹿児島座が開場した1913年には「メリー館」（後に喜楽館）がオープンしており、1917年には「帝国館」（のちの鹿児島東宝）が開業するなど、この地域は文化や娯楽が盛んであったことが伺えます。

歴史的に見ても、鹿児島座は鹿児島の文化にしっかりと刻まれた存在であり、その短いながらも活気にあふれた劇場生活は、今なお多くの人々の心に残っています。

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