鹿児島電気

鹿児島電気株式会社の歴史

鹿児島電気株式会社は、明治後期から昭和戦前期にかけて、鹿児島県で初めての電力会社として設立されました。この会社は、1898年に開業し、鹿児島市とその周辺地域に電気を供給する使命を担いました。また、ガス事業も展開していた時期もありました。

設立と発展

創業者の祁答院重義は、宮之城島津家の出身の実業家で、薩摩半島の銀山で水力発電に成功し、これを基に鹿児島市内での電気事業を計画しました。1895年に当局へ出願し、鹿児島商業会議所の協力を得て、1897年に鹿児島電気株式会社が設立されました。

最初の発電所である小山田発電所は、1898年に完成し、鹿児島市内への電気供給を開始しました。当時の発電能力は100キロワットで、開業時には833灯の電灯を点灯させました。鹿児島電気は九州で初めて水力発電を使用する事業者としても知られています。

事業の拡大

鹿児島電気は、発電所の増設を進めながら、電灯数を急速に増やしていきました。1899年には1,750灯の電灯を供給し、さらなる増資を決定しました。これに基づき第二発電所が建設されると、出力は150キロワットに増えました。このように、電力供給の需要に応じて逐次的に出力を強化していき、1907年には三つ目の発電所を設立しました。

ガス事業の兼営

1910年、ガス事業も開始されると、鹿児島瓦斯株式会社が設立され、鹿児島電気は1917年にこの事業を買収します。その後、社名を「電気工業瓦斯株式会社」に変更しましたが、ガス需要の低下により、再び社名を鹿児島電気に戻しました。最終的にはガス事業を日本水電に売却し、電気事業に専念することになりました。

熊本電気との合併

1927年には業績が一時的に悪化し、熊本電気と業務提携を結びました。熊本電気は株式の買収を進め、最終的に1940年には合併して九州電気株式会社へと改称され、鹿児島電気は解散を余儀なくされました。この合併により、鹿児島市内の電気供給は九州電気に引き継がれることとなったのです。

供給区域と発電所

1938年末時点での鹿児島電気の電気供給区域は、鹿児島市を中心に、鹿児島郡や日置郡、姶良郡などにも広がっていました。電力供給を行っていた発電所は、水力発電所6か所と火力発電所1か所でした。これらは後に九州電気に引き継がれ、現在の九州電力の基盤となっています。

結論

鹿児島電気株式会社は、地域の発展に寄与し、九州における電力供給の礎を築いた企業でした。水力発電の導入による低コストでの電気供給は、地域経済の成長を促進し、電気の普及に大きな役割を果たしました。その後の合併を経て、現在の九州電力となっていますが、その歴史は今なお地域のエネルギー供給の一部として語り継がれています。

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