宮之城島津家

宮之城島津家

宮之城島津家は、島津氏の支流にあたる武家、士族、そして華族でした。初代は島津忠良の三男である島津尚久で、江戸時代には薩摩藩の一門家臣として薩摩国宮之城を領有しました。明治維新後には華族の男爵家となりました。

歴史

成立

相州家島津忠良の三男である尚久が家祖です。尚久は、1554年の岩剣城攻めなどで活躍し、薩摩国鹿籠の領主となりました。その子である忠長は、大隅国の肝付氏攻めや伊東氏、大友氏攻略戦で功績をあげ、国老となりました。また、文禄・慶長の役にも島津義弘に従い出陣しています。関ヶ原の戦い後には、薩摩宮之城の領主として移り住みました。

江戸時代

宮之城島津家は、江戸時代を通じて宮之城1万5700石余りを領有する薩摩藩の一門家臣として存続しました。幕末期には島津久光の次男である久治が家督を相続し、戊辰戦争では家老として活躍しました。

明治維新後

明治維新後、当初は士族に列せられました。明治17年（1884年）に華族制度が整えられた際、当初は旧万石以上の陪臣も男爵の対象とされていましたが、最終的には対象外となり、宮之城島津家は士族のままでした。

しかし、明治30年（1897年）10月27日、先代当主である久治の維新における功績が認められ、長丸が男爵に叙せられました。長丸は貴族院の男爵議員も務めています。長丸の息子の忠丸の代には、宮之城島津男爵家の住居は東京府北多摩郡三鷹村下連雀にありました。

明治期の財政状況

明治15年・16年頃の記録によると、当時の当主であった長丸は、旧禄高が1万5700石であり、金禄公債3万8850円、新公債900円、田畑林26町5反8畝歩、貸付金利歳入700円、合計歳入金4774円23銭5厘を所有していました。職業は無職であり、生活状況は「可」と評されています。

歴代当主

1. 島津尚久
2. 島津忠長
3. 島津久元
4. 島津久通
5. 島津久竹
6. 島津久洪
7. 島津久方
8. 島津久倫
9. 島津久亮
10. 島津久濃
11. 島津久郷
12. 島津久儔
13. 島津久中
14. 島津久宝
15. 島津久治
16. 島津長丸
17. 島津忠丸

参考文献

阿部猛、西村圭子『戦国人名事典 コンパクト版』新人物往来社、1990年。
華族大鑑刊行会『華族大鑑』日本図書センター、1990年。
松田敬之『〈華族爵位〉請願人名辞典』吉川弘文館、2015年。
森岡浩『日本名門・名家大辞典』東京堂出版、2012年。
* 「歴史散策パンフレット　宮之城島津家を学ぼう!」

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