鹿島守之助

鹿島 守之助（かじま もりのすけ）

日本の外交官、実業家、政治家であり、参議院議員（3期）を務めた鹿島守之助は、明治29年（1896年）2月2日に生まれ、昭和50年（1975年）12月3日に亡くなりました。彼は正三位を叙され、北海道開発庁長官としても知られています。法学博士としても著名で、鹿島建設の会長を務め、「中興の祖」とも称されています。特に戦前からアジア地域の統合を図る「パン・アジア」思想を提唱し、生涯にわたってその理念を実践してきました。

人物の背景

鹿島は兵庫県揖保郡半田村新在家にて、父・永富敏夫、母・くわんの四男として生まれました。父の敏夫は詩人であり農家で、関西詩壇に名声を得ていましたが、世俗を超越した考え方で生きていました。その影響を受け、鹿島は寺院に長く関わりを持ち、信徒代表として活動することになります。彼は龍野中学、京都の第三高等学校、東京帝国大学法学部を卒業後、外務省に入省します。

1922年、外交官としてヨーロッパに赴く途中、鹿島組の社長である鹿島精一と出会い、最終的に鹿島家に養子として迎えられることになります。彼は鹿島組の経営に携わり、鹿島精一の娘と結婚し、鹿島姓となりました。これにより鹿島組の経営者としての役割を果たすことになります。

外交官から経営者へ

ドイツ駐在中に、アジアの地域統合について理想を抱いていたクーデンホーフ＝カレルギー伯爵と親交を結び、彼の思想に強く影響を受けます。特にパン・アジア構想について議論を交わし、彼自身の政治活動にも反映されました。鹿島は1930年に外務省を退官した後、兵庫4区から衆院選に出馬しますが、落選します。その後も政治への関与を続け、大政翼賛会調査局長として波乱の時代に活動しました。戦後は公職追放を受けつつも、1953年には参議院議員に当選し、六期にわたり議会で活動します。

文化功労者としての活動

鹿島は国際平和に貢献した人物として、「鹿島平和賞」を設立し、その顕彰を行いました。また、彼の命令で発刊された『日本外交史』全38巻は、日本外交の研究において重要な意義を持っています。鹿島建設では経営者としても成功を収め、「事業成功秘訣二十箇条」を策定し、会社の成長を導いたと言われています。

原子力発電への熱意と影響

1951年から鹿島は原子力発電に関心を寄せ、会社の運営方針として採用しました。彼が会長に就任した後、鹿島建設は日本の原子力産業の発展に寄与し、数々の重要なプロジェクトを推進しました。1957年には日本初の原子炉建設に成功し、以降も多くの発電所の建設に関与しました。

鹿島とクーデンホーフ＝カレルギー

クーデンホーフ伯爵との関係は鹿島の生涯において特に重要で、彼から受けた影響は大きかったとされています。鹿島は晩年に「私は生涯クーデンホーフ・カレルギーから多くの影響を受けた」と言い、パン・アジアを実現することを目指しました。しかし、晩年には「生きているうちに実現しないだろうが、若い人には期待したい」と語りました。彼の思想は今なお、多くの人々に影響を与え続けています。

結論

鹿島守之助の生涯は、日本の外交、政治、文化、経済の各方面において、その足跡を残しています。彼の試みや活動が与えた影響は、現代においても広く認識されています。彼の理念であるパン・アジアの思想は、時代を超えて多くの人々に支持され続けています。

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