麗人 (1930年の映画)

映画『麗人』の紹介

『麗人』（れいじん）は、1930年に公開された島津保次郎監督による日本の現代劇のサイレント映画です。この作品は、佐藤紅緑の同名小説を原作としており、女性の権利運動や社会的な葛藤を描いています。特に、タイトル映画は、同じ名の1946年の作品とは全く異なる物語を展開します。

ストーリーの概要

物語は、女学生である水原鞘子（演：栗島すみ子）が中心となります。彼女は知人の男子学生・浅野（演：奈良真養）から乱暴を受けて妊娠してしまいます。鞘子は、一度は未来に絶望するものの、浅野に対する復讐の思いを抱きます。彼女は密かに産んだ息子を故郷の兄・水原七郎（演：岩田祐吉）に託し、再び一人で生きていく決意を固めます。

この復讐劇を主軸に、鞘子の女学校時代の同級生たちが女性の人権運動に奮闘する姿、また七郎が村のゴルフ場建設に反対する運動に邁進する様子、さらには成功した実業家・浅野の野心など、多彩なキャラクターとストーリーラインが交錯し、壮大なドラマを生み出します。

キャスト

この映画のキャストには、以下のような俳優が含まれています：

• - 水原鞘子役：栗島すみ子
• - 水原七郎役：岩田祐吉
• - お崎役：二葉かほる
• - 浅野正樹役：奈良真養
• - 小阪役：山内光
• - 黒津専三役：藤野秀夫
• - 百合子役：八雲恵美子
• - 林虎子役：岡村文子
• - 松原役：宮島健一
• - 先生役：新井淳
• - 子役：高峰秀子

スタッフ

映画の制作には、経験豊富なスタッフが集結しています。監督は島津保次郎、原作は佐藤紅緑、脚色は村上徳三郎が担当しました。また、照明には佐野広志と高下義雄が技術を発揮しました。

主題歌

映画には主題歌『麗人の唄』があり、歌うのは河原喜久恵で、作詞はサトウハチロー、作曲は堀内敬三の手によるものです。この曲は1930年5月にコロムビアレコードから発売され、サトウハチローにとっては初めてのレコード化された作品となりました。当時音楽部長を務めていた堀内敬三が作曲し、名古屋出身のオペラ歌手である曽我直子の歌声が響き、ヒットを記録しました。

『麗人』は、復讐劇としてだけでなく、女性の権利に対する意識の高まりや社会運動の重要性を訴える作品であり、サイレント映画としての価値も高く評価されています。

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