麗江府

麗江府（れいこうふ）は、中国にかつて存在した地方行政区画です。現在の雲南省麗江市一帯に相当する地域に、明代から民国初年にかけて設置されていました。

概要

麗江府の前身は、元代にまで遡ります。1271年（至元8年）、元朝は茶罕章宣慰司（さはんしょうせんいし）を設置しました。これはこの地域の行政と軍事を管轄する機関でした。その後、1276年（至元13年）には、茶罕章宣慰司は麗江路軍民総管府（れいこうろぐんみんそうかんふ）と改められました。さらに1285年（至元22年）には、麗江路軍民宣撫司（れいこうろぐんみんせんぶし）へと改編されました。この麗江路軍民宣撫司は、雲南等処行中書省（うんなんとうしょこうちゅうしょしょう）に属し、周辺の北勝府（ほくしょうふ）と、順州（じゅんしゅう）、永寧州（えいねいしゅう）、蒗蕖州（ろうきょしゅう）、通安州（つうあんしゅう）、宝山州（ほうざんしゅう）、巨津州（こしんしゅう）、蘭州（らんしゅう）の7州を管轄しました。

明朝が成立すると、この地域は新たな体制下におかれました。1382年（洪武15年）、明朝は麗江路軍民宣撫司を麗江府（れいこうふ）と改めました。さらに、1397年（洪武30年）には麗江軍民府（れいこうぐんみんふ）と改称しました。麗江軍民府は雲南省に属し、通安州、宝山州、巨津州、蘭州の4州を管轄しました。この時期、麗江木氏（れいこうぼくし）が土司（どし）として知府（ちふ）の地位を世襲し、この地域を支配しました。土司とは、地方の少数民族の首長に与えられた官職であり、世襲制が認められていました。

清朝の時代に入り、1659年（順治16年）、麗江軍民府は麗江土府（れいこうどふ）と改められました。これは、地方の豪族である木氏が引き続きこの地域を支配していたことを示しています。しかし、1723年（雍正元年）、改土帰流（かいどきりゅう）政策によって、木氏は土知府から土通判（どつうはん）に降格され、麗江土府は流官（りゅうかん）が統治する麗江府と改められました。この改土帰流は、清朝が地方の土司の世襲制を廃止し、中央政府から派遣された官僚が直接統治する体制に変える政策でした。これにより、麗江府は清朝の直接統治下に置かれることになりました。麗江府は雲南省に属し、麗江県（れいこうけん）、鶴慶州（かくけいしゅう）、剣川州（けんせんしゅう）、中甸庁（ちゅうでんちょう）、維西庁（いせいちょう）の2庁2州1県を管轄しました。

麗江府は、中華民国が成立した1913年に廃止され、その歴史に幕を閉じました。麗江府の廃止は、中国の地方行政制度が大きく変化する中で行われたもので、この地域はその後、新たな行政区画の下で発展していくことになります。

もう一度検索