麦草峠

麦草峠（むぎくさとうげ）

麦草峠は長野県茅野市と佐久穂町の間に位置しており、北八ヶ岳を背景にした魅力的な場所です。この峠は、県の南信地方と東信地方の境界を成し、標高は2,120メートルです。また、国道299号（メルヘン街道）の最高地点であり、その標高は2,127メートルに達しており、峠の本体よりもわずかに佐久穂町側に位置しています。

歴史的背景

麦草峠は古くから重要な交通路であり、近世から昭和初期にかけて、八ヶ岳南麓の大石峠を越える道が佐久郡と諏訪郡を結んでいました。1927年に発生した大霜害は、故郷の農民たちに深刻な影響を及ぼし、これに続く農村恐慌のなか、県は地元の人々を土木作業員として雇用し、収入を得るための手段を講じました。この救農土木事業の一環として、1932年から1933年にかけて南佐久郡穂積村へ至る道路の改良工事が行われ、これが現在の麦草峠の誕生につながりました。

工事は1935年に完了し、県道穂積茅野線として認知されました。その後、1953年には主要地方道として認定され、1964年に茅野佐久町線へと改称されました。1967年には2車線の車道が全通し、1981年には国道299号として昇格しました。この峠は日本の国道の中でも標高が高く、渋峠に次ぐ高さを誇ります。峠自体は比較的緩やかですが、両側の崖は急勾配となり、ヘアピンカーブが続くため、通行には注意が必要です。

周辺の観光地

佐久穂町周辺には旧石器時代の遺跡が点在しており、特に池の平遺跡やトリデロック遺跡などが知られています。また、麦草峠は古代に黒曜石の産地としても知られています。峠の近くには美しい白駒の池もあり、八ヶ岳へのハイキングを楽しむ人々が訪れています。駐車場やトイレは有料で、便利な設備も揃っています。

さらに、周辺には蓼科高原や八千穂高原といった観光地もあり、四季折々の美しい景観を楽しむことができます。冬季には国道299号が閉鎖され、ノルディックスキーのコースとして利用されるため、スキーを楽しむ人々にも人気のスポットです。

交通アクセス

麦草峠への交通手段としては、アルピコ交通のバスが茅野駅から運行しており、7月中旬から10月中旬までの期間に1日3往復の運行があります。また、千曲バスも佐久平駅から八千穂駅を経由して麦草峠へ向かう便を運行しており、こちらは5月下旬から10月中旬の土日祝のみの限定運行です。いずれのバスも事前に運行状況を確認することが重要です。

総じて、麦草峠は自然の美しさや歴史的な価値を兼ね備えた場所であり、多くの人々が訪れる人気の観光スポットとなっています。

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