麻子仁丸

麻子仁丸（ましにんがん）とは

麻子仁丸は、漢方医学で使用される処方の一つで、主に便秘の改善を目的として用いられます。この処方は、『傷寒論』や『金匱要略』といった古典にその起源を持ち、古くから便秘に悩む人々を助けてきました。

麻子仁丸の概要

麻子仁丸は、特に高齢者の便秘によく用いられる漢方薬です。便が硬く、コロコロとした塊状になり、排便が困難な場合に適しています。これは、腸の潤いが不足し、便がスムーズに排出されない状態を改善する効果があるためです。

『金匱要略』には、「趺陽の脈、浮にして濇。浮ならば即ち胃気強く、濇ならば即ち小便数、浮濇相打摶ち、大便即ち硬く、其の脾、約を為す。麻子仁丸之を主る。」という記述があります。これは、脈の状態から便秘の原因を探り、麻子仁丸が有効であることを示唆しています。

保険適用エキス剤

医療機関で処方される麻子仁丸のエキス剤は、便秘の治療に用いられます。効果や使用方法については、医師または薬剤師の指示に従ってください。

構成生薬

麻子仁丸は、以下の6つの生薬から構成されています。

麻子仁（ましにん）：5.0g
杏仁（きょうにん）：2.0g
大黄（だいおう）：4.0g
厚朴（こうぼく）：2.0g
枳実（きじつ）：2.0g
芍薬（しゃくやく）：2.0g

これらの生薬が組み合わさることで、腸を潤し、便を柔らかくし、排便を促す効果を発揮します。

各生薬の役割

麻子仁: 腸を潤し、便を柔らかくする作用があります。
杏仁: 腸の機能を調整し、排便を助ける作用があります。
大黄: 腸を刺激し、排便を促す作用があります。ただし、刺激が強いため、体力の弱い人や高齢者は注意が必要です。
厚朴・枳実: 腸の動きを整え、お腹の張りを和らげる作用があります。
芍薬: 腸の痙攣を抑え、腹痛を和らげる作用があります。

使用上の注意

麻子仁丸を使用する際には、以下の点に注意してください。

医師または薬剤師に相談の上、使用してください。
妊娠中または授乳中の方、高齢者、体の弱い方は、特に注意が必要です。
他の薬との併用については、医師または薬剤師に相談してください。
副作用が現れた場合は、直ちに使用を中止し、医師または薬剤師に相談してください。

関連事項

ツムラ - 126番が麻子仁丸エキスとして販売されています。
* 小太郎漢方製薬 - N-126が麻子仁丸エキスとして販売されています。

麻子仁丸は、便秘に悩む多くの人々にとって有効な漢方薬です。しかし、使用に際しては、専門家のアドバイスを受けることが重要です。体質や症状に合わせた適切な使用で、快適な生活を送りましょう。

もう一度検索