麻生平八郎

麻生平八郎（あそう へいはちろう）は、1906年5月25日に千葉県で生まれ、1998年11月15日に92歳で生涯を閉じた日本の著名な商学者です。明治大学で商学博士号を取得し、長年にわたり同大学の教育と運営に深く関わりました。最終的な栄典として従四位勲二等旭日重光章を授与されています。

彼の学歴は、1929年に明治大学法学部を卒業することから始まります。卒業後、旧制の同大学大学院に進学し、行政法を専門とし、島村他三郎のもとで研鑽を積みました。大学院を修了した1931年には、明治大学商科専門部の専任講師に就任し、教育者としての第一歩を踏み出します。その後、1933年に助教授、1934年には商学部の専任講師へと昇進し、キャリアを積み重ねていきました。

第二次世界大戦中には、外務省からの委託を受け、1939年には中国、1944年にはドイツの調査に参加するなど、国内外の社会情勢に関する知見を深める活動も行いました。戦後の1949年には明治大学商学部の教授に昇任し、同時に商科専門部長も兼任しました。学内での責任ある立場を次々と担い、1952年には商学部長に就任。1953年にはドイツのスツットガルト工科大学への留学を経験し、国際的な視野を広げました。帰国後、1956年には再び商学部長を務め（1966年まで）、学校法人明治大学の評議員としても大学運営に携わりました。また、1959年には明治大学社会科学研究所長、1966年には大学院商学研究科長を歴任するなど、研究および大学院教育の発展にも貢献しました。

麻生氏は明治大学での活動と並行して、学外でも多岐にわたる要職を務めました。1955年には文部省学術奨励審議会委員、1966年には運輸省鉄道建設審議会委員として、国の政策立案にも関与しました。また、日本の学術振興にも尽力し、1973年には日本海運経済学会会長、日本交通学会会長に就任し、関連分野の研究を主導しました。教育者としては、東京農業大学、立正大学、法政大学、中央大学、福岡大学など、複数の大学で兼任講師として教鞭を執り、多くの学生の育成に携わりました。

さらに、1970年には武田孟からの要請に応じ、短期間ながら学校法人札幌大学の理事長代理、札幌大学学長代行、札幌大学女子短期大学部学長代行を務め、新たな大学の運営支援にも関わりました。明治大学を定年退職した後の1977年には、同大学の総長に就任し、1979年までの間、その重責を担いました。総長退任後は明治大学名誉教授の称号を受け、1979年からは札幌大学経営学部の客員教授としても教え続け、1984年に退職しました。

彼の研究は多岐にわたり、公企業論、経済国家機能論、海運・海運政策、交通経済、労働問題、産業経済論、労使関係論など、幅広い分野に及んでいます。これらの研究成果は、『経済国家機能論』、『海運及海運政策』、『交通経済の基本問題』、『労働問題』、『労使関係論』といった多くの著書として結実し、日本の商学・経済学分野における重要な著作として位置づけられています。

麻生氏はその功績により、1971年に交通文化賞を受賞しました。また、1981年には勲二等旭日重光章を受章し、国家からの顕彰を受けました。逝去後の1998年には従四位に叙せられ、改めてその生涯にわたる貢献が認められました。肺炎のため1998年11月15日に逝去しましたが、商学者、教育者、そして大学運営者として、日本の学術界と教育界に残した足跡は大きいと言えるでしょう。

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