黄体機能不全

黄体機能不全とは？

黄体機能不全とは、女性の排卵後に卵巣で形成される黄体が、十分な量の黄体ホルモン（プロゲステロン）を分泌できない状態です。黄体ホルモンは、妊娠を成立させる上で非常に重要な役割を担っており、その分泌が不足すると、妊娠の継続が困難になります。

具体的には、排卵後、子宮内膜を妊娠に適した状態に保つために必要なプロゲステロンの分泌量が不十分なため、子宮内膜が十分に維持できず、様々な症状を引き起こします。

黄体機能不全の症状

黄体機能不全では、以下のような症状が現れる可能性があります。

頻発月経・不正出血: 子宮内膜が十分に維持できないため、月経周期が短くなったり、月経以外の出血が起こったりします。
不妊: 子宮内膜の状態が妊娠に適していないため、受精卵が着床しにくくなります。

黄体機能不全の診断

黄体機能不全の診断には、以下の検査が用いられます。

血液検査: 黄体期（排卵後）のプロゲステロン値を測定します。通常、10ng/mL以上が基準とされますが、基準値は検査機関によって異なる場合があります。
基礎体温測定: 基礎体温表から、高温期の短さ（10日未満）や高温期と低温期の差の小ささ（0.3℃未満）、高温期の途中で低温期に落ち込むといった異常を調べます。
超音波検査: 子宮内膜の厚さを測定します。通常、8mm以上が基準とされますが、これも検査機関によって異なる場合があります。

これらの検査結果から、黄体機能不全の有無や程度を判断します。

黄体機能不全の原因

黄体機能不全の原因は多岐に渡り、完全に解明されているわけではありませんが、以下のような要因が考えられています。

卵巣の機能不全: 卵胞の発育や排卵、黄体形成のプロセスに異常がある場合、十分な量の黄体ホルモンが分泌されません。
脳下垂体の機能不全: 脳下垂体から分泌される卵胞刺激ホルモン（FSH）や黄体形成ホルモン（LH）の分泌量が不十分だと、卵巣の機能が低下し、黄体機能不全につながる可能性があります。
子宮内膜の感受性低下: 黄体ホルモンが十分に分泌されていても、子宮内膜が黄体ホルモンに適切に反応できない場合、黄体機能不全と同様の状態になります。
その他の要因: ストレス、過度なダイエット、激しい運動なども、黄体機能不全の原因となる可能性があります。

黄体機能不全の治療

黄体機能不全の治療法は、妊娠を希望するかどうかによって異なります。

妊娠を希望しない場合

妊娠を希望しない場合は、症状の程度によって治療法が異なります。症状が軽微であれば、経過観察のみとなる場合もあります。不正出血や頻発月経が気になる場合は、ピルなどのホルモン剤を用いて月経周期を調整する治療が行われます。漢方薬による体質改善も選択肢の一つです。

妊娠を希望する場合

妊娠を希望する場合は、不妊治療が必要となります。黄体機能不全に対する不妊治療では、以下の方法が用いられます。

黄体ホルモン補充療法: 排卵後に黄体ホルモン剤やhCG製剤を投与し、黄体機能を補います。これにより、子宮内膜を妊娠に適した状態に保ち、着床率を高めます。
* 排卵誘発剤の使用: 排卵誘発剤を使用することで、卵胞の成長を促し、より質の良い卵子の排卵を促します。これによって、黄体ホルモンの分泌が改善される可能性があります。

まとめ

黄体機能不全は、妊娠に大きく影響する可能性のある状態です。症状や妊娠の希望など、状況に合わせて適切な治療を行うことが重要です。 気になる症状がある場合は、婦人科を受診し、医師と相談してください。

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