黄崇

黄崇（こう すう）

黄崇は、中国三国時代の蜀漢に仕えた武将・政治家で、益州巴西郡閬中県の出身です。父は黄権で、『三国志』蜀書黄権伝にその名が記されています。

生涯

章武2年（222年）、劉備が荊州へ親征した夷陵の戦いで陸遜に大敗を喫しました。父の黄権は、劉備から厚い信任を受け、別働隊を率いて荊州北部で魏に備えていましたが、劉備の敗戦により進退窮まり、やむなく魏へ降伏しました。黄権の妻子を処罰するよう進言する者もいましたが、劉備は「黄権が私を裏切ったのではない。私が黄権を裏切ったのだ」として、この進言を退けました。

当時、元服を間近に控えていた黄崇は、従軍を志願しましたが、年齢を理由に却下されました。同様の事例は諸葛瞻・諸葛京父子の逸話にも見られ、蜀漢における従軍規定の一端を窺わせます。一方、魏の曹操の子・曹丕は10歳、夏侯淵の子・夏侯栄は13歳で従軍を許可されています。

黄崇はその後、蜀漢に出仕し、尚書郎に任じられました。

炎興元年（263年）冬、鄧艾軍が陰平の間道を通って剣閣を迂回してきたため、諸葛瞻に従って涪へ向かいました。諸葛瞻が涪から動こうとしなかったため、黄崇は「速やかに進軍して要害を占拠し、敵を平地に進入させないようにすべきです」と再三進言しましたが、聞き入れられず、涙を流したと伝えられています。

その後、鄧艾軍が進軍してきたため、諸葛瞻は綿竹まで退却しました。黄崇は兵を鼓舞し、奮戦しましたが、力及ばず戦死しました。蜀漢は滅亡。享年は50代半ばであったとされています。

史跡

四川省綿竹市には、綿竹防衛戦で戦死した諸葛瞻とその子の諸葛尚、張遵、黄崇、李球、そして諸葛亮を祀る諸葛双忠墓祠があります。

もう一度検索