黄鎬

黄鎬（こう こう、生年不詳 - 1483年）は、明代に活躍した官僚であり軍人です。字（あざな）は叔高（しゅくこう）といい、本貫は福州府侯官県にありました。

1445年（正統10年）に進士に及第し、1447年（正統12年）には都察院での試用を経て、その法律に関する深い知識と卓越した能力から御史に任じられました。1449年（正統14年）には貴州巡按に任命され、その地で発生した苗族の反乱に対処することになります。当時、靖遠伯王驥らが麓川からの帰還中に規律を欠いたため、苗族の襲撃を受けて官軍は大敗を喫していました。黄鎬は平越に赴き、反乱軍との激戦を繰り広げました。夜間、平越城に何とか入城したものの、反乱軍は城を包囲し、城内からは放棄論も出ましたが、黄鎬は「平越は貴州の要であり、ここを失えば貴州を守れない」と主張し、諸将と共に城を固守しました。彼は密かに竹筒に上奏文を隠し、現地民を使って朝廷に援軍を要請すると同時に、王驥らの敗戦を弾劾しました。

翌1450年（景泰元年）、景泰帝は保定伯梁珤らに合州と湖広の軍を率いて救援に向かわせたため、平越の包囲は9ヶ月を経てようやく解かれました。包囲された平越城では、兵士たちが草の根を掘り、弩や鎧を煮て食料にするほどの窮乏状態であり、多くの死者を出していたといいます。この危機的な状況下で、平越城を守り抜いた黄鎬の功績は非常に大きいものでした。その後、黄鎬はさらに1年間、巡按貴州の任を務め、その後、広東僉事、浙江僉事と転任しました。

1466年（成化2年）には広東左参政に抜擢され、高州、雷州、廉州の海賊を討伐し、この地域を平定しました。その後、広西左布政使に転じ、1472年（成化8年）には右副都御史となり、総督南京糧儲を務めました。1475年（成化11年）には吏部右侍郎、1476年（成化12年）には吏部左侍郎へと昇進し、1480年（成化16年）には南京戸部尚書に任じられました。

1483年（成化19年）、黄鎬は致仕（退官）しましたが、その帰路の途中で亡くなりました。その功績を称えられ、太子少保の位を追贈され、諡は襄敏とされました。

黄鎬は、困難な状況においても冷静な判断力と強い意志をもって任務を遂行し、民衆のために尽力した人物として、明代の歴史にその名を刻んでいます。

参考文献
* 『明史』巻157 列伝第45

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