黎宜民

黎宜民（れい ぎみん）

黎宜民（ベトナム語: Lê Nghi Dân）は、後黎朝大越の第4代皇帝（在位：1459年 - 1460年）であり、黎琮（れい そう、ベトナム語: Lê Tông）とも呼ばれます。廟号や諡号はなく、『大越史記全書』においても、皇帝の伝記である本紀にその伝は記されていません。

生涯

太宗の長男として生まれ、皇太子に立てられましたが、生母である楊氏賁（ズオン・ティ・バン）の傲慢な態度が太宗の怒りを買い、楊氏は廃されて庶民とされ、黎宜民自身も諒山王に降格されました。一説には、楊氏賁が紅河デルタ出身であり、タインホア出身の開国功臣たちとの繋がりが薄かったことが原因とも考えられています。

成人後、皇太子の地位を剥奪され、帝位を継ぐことができなかったことに不満を抱いた黎宜民は、延寧6年（1459年）に兵を挙げ、異母弟である仁宗黎邦基（れいほうき）とその母である宣慈太后阮氏英（グエン・ティ・アイン）を殺害し、自ら皇帝に即位しました。即位後、天興（または天与）と改元しました。

しかし、即位からわずか8ヶ月の間に、讒言を信じて旧臣を次々と殺戮したため、人々の怨みを買い、大臣の阮熾（グエン・チ）・丁列（ディン・リエット、丁璉の末裔）らによって捕らえられ、殺害されました。死後、厲徳侯（れいとくこう）に落とされ、弟の平原王黎思誠（れいしせい）が帝位に就けられました（聖宗）。

黎宜民の治世は短期間に終わりましたが、六部の設置など、後の聖宗期に引き継がれた政策も存在します。彼の治世は、簒奪と恐怖政治によって特徴づけられ、後黎朝の歴史において負の側面として記憶されています。

関連作品

映画
ソード・オブ・アサシン（2012年、ベトナム）

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