黎明会

黎明会について

黎明会（れいめいかい）は、1918年12月に日本国内で結成された言論団体で、「頑迷思想の撲滅」を掲げて民本主義に立つ学者や思想家が集まりました。この団体は、短期間の活動ながらも、日本の社会や政治に対して影響を与え、重要な役割を果たしました。

発足の背景

黎明会の結成は、1918年の米騒動や白虹事件といった当時の状況から生まれました。これらの事件では反政府的な言論が抑圧され、状況が厳しくなっていました。このような中、学者の吉野作造は民本主義を擁護するために、進歩的な知識人である福田徳三と共に活動を始め、知人たちにこの新たな団体結成を呼びかけました。しかし、実際には社会主義者との連携を図る動きもあり、入会希望者も多く集まりました。

黎明会の設立

1918年12月23日、神田学士会館で行われた創立会では、23名の参加者が集まり、黎明会の「大綱三則」が承認されました。この大綱は、日本の国体の理解、危険な頑迷思想の撲滅、国民生活の安定と充実などを目指すものでした。会の活動は月1回の講演会の開催と、その内容を記録したパンフレットの発行が決まり、1919年6月には『解放』という機関誌が創刊されました。

講演会の開催

黎明会は発足からすぐに活発な講演活動を開始しました。1919年1月には第1回講演会が開催され、1,500名を超える聴衆が詰めかける盛況ぶりを見せました。この講演会では、当時の社会問題を取り上げ、特に三・一運動を背景に朝鮮の武断政治を批判しました。また、普通選挙制度の実現や治安警察法第17条の撤廃を訴え、社会的な関心を集めるようになりました。

弾圧と解散

しかし、1920年に入ると、黎明会の会員への弾圧が強まります。特に森戸辰男が筆禍事件で東大を追われたことを受け、会は彼を擁護するための講演会を開催しましたが、当局の監視は厳しくなりました。翌5月には、木村久一によるシベリア出兵反対の発言が不敬罪に問われるなど、弾圧は続きました。そのような中、マルクス主義思想の波が日本に広がり、黎明会の民本主義的な主張も次第に新しさを失い、内部の思想対立も深まりました。特に福田徳三と他の会員との間には大きなギャップが生じ、1919年の国際労働会議の代表選出問題では対立が鮮明になりました。

1920年4月には機関誌『黎明講演集』の発行が止まり、同年8月には福田の提案により会は解散しました。黎明会の活動は短命でしたが、その活動内容や思想は後の民主主義運動に影響を与えることとなりました。

最後に

黎明会は、日本における民本主義を唱える重要な団体でした。多数の著名な学者や思想家が関与し、社会問題に対して鋭い視点を持った講演や議論が行われていたことは、当時の知識人たちの意識形成に寄与したと言えるでしょう。

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