黒川通軌

黒川通軌：明治日本の陸軍中将とその生涯

黒川通軌（くろかわ みちのり、1843年2月12日 - 1903年3月6日）は、明治時代の日本陸軍を代表する軍人の一人です。最終階級は陸軍中将に上り詰め、男爵の爵位にも叙せられました。

華族出身から軍人への道

黒川は、伊予国小松藩士・黒川定之丞の長男として誕生しました。藩の役職に就いたのち、明治政府に出仕。兵部省で複数の要職を歴任し、1872年には陸軍省に出向、陸軍裁判所の評事などを務めました。その後、陸軍裁判所長や軍馬局長といった要職を歴任し、その手腕を発揮しました。

西南戦争とその後

西南戦争では、別働第4旅団長官代理、さらに別働第2旅団参謀長として従軍し、激戦を経験。その戦功によって、1878年には陸軍少将に昇進。その後も、広島鎮台司令官や中部監軍部長心得などを歴任し、軍における地位を着実に築き上げていきました。1885年には陸軍中将に昇進、名古屋鎮台司令官、第3師団長、第4師団長と要職を歴任しました。

皇室への奉仕と晩年

1893年には、東宮武官長兼東宮大夫に就任。皇太子（後の明治天皇）に仕え、その高い信頼を得ていました。1897年に休職し、1902年には予備役に編入。1903年3月6日、61歳でこの世を去りました。

栄典と華族

黒川は、その功績から数々の栄典を受賞しています。勲二等旭日重光章、従三位、勲一等瑞宝章、旭日大綬章など、その功績を物語る数々の勲章を胸に飾りました。1887年には、勲功により男爵に叙せられ、華族の仲間入りを果たしました。

家族とその後

黒川には妻の筆代（飯尾瞿堂三女）との間に、1男3女がいました。長男の黒川幹太郎は貴族院議員を務めました。黒川家の家系は、幹太郎の死後、養子の黒川秀雄が継承しましたが、秀雄の死後、襲爵されませんでした。黒川家下屋敷は、後に精神科医高良武久が買い取り、森田療法の病院「高良興生院」が開業されました。

黒川通軌の足跡

黒川通軌は、武士階級から明治政府の軍人として活躍した代表的な人物です。西南戦争での武功、陸軍省での要職歴任、そして東宮への奉仕など、その生涯は激動の明治時代を象徴するものでした。華族への叙爵も、彼の功績がどれだけ高く評価されたかを示しています。黒川家とその屋敷のその後も、明治から昭和にかけての日本の社会変遷の一端を垣間見ることができる興味深いエピソードと言えるでしょう。彼の功績は、日本の近代化に貢献した多くの軍人たちの代表として、今後も語り継がれるべきものです。

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