黒明良光

黒明良光：不屈の精神で頂点を極めた「黒い弾丸」

黒明良光（くろみょう よしみつ）は、1947年11月15日、岡山県倉敷市に生まれた元競艇選手です。登録番号は2090、22期生として競艇界に足を踏み入れました。実孫には、同じく競艇選手の黒明花夢がいます。

幼少期から競艇選手への道

3歳の時に父親を亡くした黒明は、母親の実家がある鹿児島で育ちました。トラック運転手から「ケンカは命がけ」と教え込まれ、中学・高校時代には番長として名を馳せていたそうです。高校卒業後、競艇選手を志すようになったのは、同級生の影響と、賞金を稼いで母親を楽にさせたいという強い思いからでした。

厳しい訓練を経て、1966年10月に選手登録を済ませ、翌11月には地元児島でデビューを果たしました。初出走で初勝利を飾るものの、しばらくはC級とB級を行き来する日々が続きました。引退も考えたそうですが、4年目にアウトコースからのスタートに固執するスタイルを改め、無事故を心掛けるようになってから成績が向上。10連勝や完全優勝を達成し、A級へと昇格しました。

全国レベルへの挑戦と減量

黒明は30代半ばまで「地方の選手」と自らを評し、地区レベルの記念レースでは通用しても、全国レベルでは苦戦を強いられていました。転機が訪れたのは36、7歳の頃。今村豊の影響を受け、全速ターンの練習に打ち込んだ結果、四大特別競走でも勝てるという手応えを掴みます。また、地元後輩の「黒明さんは終わった」という言葉に奮起し、1984年暮れから減量に取り組みました。

正月レースで優勝を果たすために、わずか14日間で60kg超の体重を53kgまで落としました。減量中はブラックコーヒーのみで凌ぎ、夕食時には家を抜け出してランニングをしていました。減量によって勝ちやすくなった黒明は、連勝を重ね、どうすれば負けるのかわからなくなるほどでした。22連勝でストップした後も、4連勝で優勝。そして、平和島で行われた第20回鳳凰賞競走で、見事四大特別競走初優勝を果たしました。この時の優勝で、黒明は「もう勝つのはいいかな」と感じたそうです。鳳凰賞は、その年6回目の優勝でした。

「黒い弾丸」の誕生

究極の減量によって、体重を大幅に落とした黒明は、その圧倒的なターン力でレースを席巻。その迫力あるレーススタイルから、現役時代は「黒い弾丸」という愛称で親しまれました。通常時は60kgを超える体重であったため、若手時代は「お前みたいな巨漢が走れるわけがない」と言われたこともあったそうです。アウトコースからの豪快な「弾丸まくり」は、黒明の代名詞となりました。

黒明は、体重ハンデが出る淡水プールでは苦戦しましたが、浮力がありハンデの少ない海水レース場では圧倒的な強さを誇りました。1989年の笹川賞競走では、大外6コースからのまくり差しで優勝を飾っています。

王国・岡山の象徴

岡山支部のプロペラ研究グループ「イーグル会」を立ち上げ、後進の指導にも尽力しました。また、「岡山ヤング会」を結成し、若手選手の育成にも力を注ぎました。

1994年には徳山[[競艇場]]でレコードタイを記録。1998年にはGIダイヤモンドカップ競走で優勝。2001年の蒲郡競艇場での優勝が最後の勝利となりました。2001年から2005年まで日本モーターボート選手会会長を務め、2005年に引退。2007年にはボートレースの殿堂入りを果たしました。

引退後も活躍

引退後は、「ボートレース児島オフィシャルアドバイザー」として、解説者として活躍し、実況放送のスタート展示・リプレイ解説を担当しています。

主な獲得タイトル

1975年 - 中国地区選手権競走（児島）
1980年 - 児島開設30周年記念競走
1981年 - 丸亀開設29周年記念競走
1984年 - 中国地区選手権競走（宮島）
1985年 - 第20回鳳凰賞競走（平和島）、徳山開設32周年記念競走、宮島施設改善記念特別競走
1988年 - 下関開設34周年記念競走
1989年 - 第16回笹川賞競走（下関）、児島開設37周年記念競走
1990年 - 宮島施設改善記念特別競走
1994年 - 平和島開設40周年記念競走
1995年 - 下関開設41周年記念競走
1997年 - 中国地区選手権競走（徳山）
1998年 - ダイヤモンドカップ競走（びわこ）

黒明良光は、その不屈の精神と努力で多くのファンを魅了し、ボートレース界に大きな足跡を残しました。彼の活躍は、これからも語り継がれていくでしょう。

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