黒海太

黒海 太（こっかい ふとし）

黒海太は、1981年3月10日にアブハジア共和国のスフミで生まれました。彼の本名はレヴァン・ツァグリアで、身長は190cm、体重は156kgという大柄な体格を持ちます。彼は相撲界においてヨーロッパ出身者としては初の関取という存在であり、追手風部屋に所属して活躍しました。最高位は西小結で、その力強い取り口と華々しい成績で多くのファンを魅了しました。

来歴

幼い頃からレスリングの才能を見せた黒海は、6歳からこのスポーツを始めます。しかし、12歳のときにはアブハジア紛争に巻き込まれ、自宅が破壊され、家族と共にトビリシに避難しました。彼はその後、グルジアのスポーツナショナルアカデミーに通い、欧州ジュニア選手権大会で優勝するなど、将来を期待される選手に成長します。ついにはアマチュア相撲に興味を持つようになり、世界アマチュア相撲選手権大会への参加を経て、日本に渡ります。

2001年5月場所で初土俵を踏み、その後は順調に昇進していきます。特に注目の成績を収めたのは、2003年11月場所での十両優勝。彼はその後も幕内に昇進し、数々の名勝負を繰り広げました。特に横綱・朝青龍を破ったのは、彼にとっての大きなハイライトであり、金星を獲得した瞬間は多くのファンの記憶に刻まれています。

取り口

黒海の取り口は、当初は突きや押しを駆使したスタイルが特徴でした。立合いでは圧倒的なパワーを発揮し、特にカチ上げやモロ手での突き放しは多大な威力を誇りました。しかし、この取り口はワキを広げる形になりがちで、肘に負担がかかるため怪我に悩むことも多かったのです。引退後には、四つ相撲を中心にしたスタイルに変わりましたが、その怪力は引き技にも生かされました。

引退後の生活

黒海は2011年1月に引退を発表し、その後はグルジアで日本食レストランを経営しつつ、アマチュア相撲の指導にあたっています。また、グルジア相撲連盟の会長としても活躍しており、母国のスポーツ振興に寄与しています。彼の引退後の活動は、文化交流やスポーツの普及において重要な役割を果たしています。

エピソード

黒海は多言語を操り、特に日本語、グルジア語、ロシア語、英語を流暢に話します。日本に来た当初から食文化にも順応し、日本語でのコミュニケーションを積極的にとっていました。彼の引退後の発言からは、日本に来て自身の人生が開けたと語るなど、日本への感謝の気持ちが見受けられます。さらに、家庭ではグルジアの女子大学院生と結婚し、彼の生活は新たなステージへと進んでいきました。

主な成績

通算成績は446勝458敗と、勝率は0.493です。幕内では312勝363敗の成績を残し、特に十両では1度の優勝を果たしました。その競技人生で得た経験と成績は、後進の力士たちにとっても大きな刺激となっています。

最終的には、黒海太は日本相撲界で築いた数々の業績と共に、国際的な相撲文化交流の重要性を示す存在となりました。彼の物語は、相撲というスポーツがいかに多様性を持っているかを物語っており、今後の発展にも期待が寄せられています。

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