黒瀬珂瀾

黒瀬珂瀾：現代短歌壇を彩る歌人僧侶

黒瀬珂瀾（くろせ からん）は、1977年大阪府豊中市生まれの現代歌人にして浄土真宗本願寺派の僧侶である。大阪星光学院高等学校卒業後、大阪大学文学部比較文学専攻を卒業、同大学院文学研究科修士課程を修了。在学中には京都大学短歌会に所属し、研鑽を積んだ。

黒瀬の経歴は、数々の受賞歴と活動によって彩られている。13歳から短歌を始め、1996年には中部短歌会に入会、春日井建を師と仰いだ。初期の作風は、師の影響を強く受けた耽美的で幻想的な世界観が特徴であった。その後、岡井隆の影響を受け、修辞を駆使した写実的な作風へと転換を遂げ、その表現方法は多様性を増していく。

数々の歌誌や歌会に参加し、才能を開花させていく。1998年には中部短歌新人賞を受賞、2003年には第一歌集『黒耀宮』で第11回ながらみ書房出版賞を受賞するなど、若手歌人として頭角を現す。2004年には中部短歌会を退会、自身の歌誌『sai』を創刊するなど、精力的に活動した。

2004年から2006年にかけては、読売新聞「OTAKUニッポン」にて「カラン卿の短歌魔宮」を連載、サブカルチャーへの造詣の深さを示した。さらに、2011年にはロンドンに1年間滞在し、国際的な視野も広げる。帰国後は、歌誌「未来」の選者、NHK[[短歌]]の選者、北日本新聞「とやま文芸散歩」の担当など、幅広い活動を展開した。

近年は、その活動はさらに多様化している。映画『サイダーのように言葉が湧き上がる』の俳句監修、文学フリマ金沢の実行委員、そして富山県富山市にある寺院・願念寺の住職としての活動など、歌人としての枠を超えた活躍が目立つ。2021年には、第38回とやま賞を受賞、歌集『ひかりの針がうたふ』で第26回若山牧水賞を受賞するなど、その高い評価は揺るぎないものとなっている。

黒瀬珂瀾の作品は、初期の耽美的作風から写実的な作風への変化、そしてサブカルチャーへの造詣の深さなど、多様な要素が混在している点が特徴である。その独特の感性と表現方法は、多くの読者や歌人を魅了し続けている。妻は大阪大学准教授の鈴木暁世（比較文学）である。

主な作品:

『黒耀宮』（ながらみ書房、2002年）
『街角の歌』（ふらんす堂、2008年）
『空庭』（本阿弥書店、2009年）
『蓮喰ひ人の日記』（短歌研究社、2015年）
* 『ひかりの針がうたふ』（書肆侃侃房、2021年）

黒瀬珂瀾の今後の活躍にも期待が高まる。現代歌壇の第一線で活躍する傍ら、僧侶としての活動、そして多様なメディア活動を通して、これからも独自の世界観を表現し続けるであろう。

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