黒田一誠

黒田一誠について

黒田一誠（くろだ かずのぶ）は、江戸時代中期に活躍した筑前福岡藩の大老であり、三奈木黒田家の第6代当主として知られています。この家系は、荒木村重の家臣・加藤重徳の次男が黒田孝高の養子となったことから始まります。黒田家は知行高が1万6205余石あり、家老の上席を世襲し、さらに大老の地位まで昇進してきました。先代の一利の生母は、秋月藩主・黒田長興の娘で、以降の子孫は黒田長政の系譜に繋がります。

生い立ちと家督相続

一誠は正徳3年（1714年）、福岡藩大老である父・黒田一利の子として誕生しました。享保19年（1734年）5月に父が隠居したことで、家督と知行1万6205石を正式に引き継ぎ、同年9月には通称を「源左衛門」から「美作」に改名しました。これにより、彼は家の運営を担う重要な立場に立つことになります。

藩政における問題と隠居

一誠は宝暦4年（1754年）5月、家老の吉田保年の失脚に関与したとされ、藩主・継高から隠居命令を受けることとなります。この事件の背景には、藩政改革を進めていた吉田保年と藩主の寵臣・郡英成との対立がありました。隠居後は800石の領地を与えられ、通称を「三左衛門」と改め、後に「適斉」と号しました。家督は息子の玉松（一興）が引き継ぐことになります。

晩年と死去

一誠は天明7年（1787年）5月2日に74歳で死去しました。その生涯は、福岡藩の歴史において特に重要な役割を果たしたものとして記憶されています。彼の死は、藩の行く先においても大きな影響を与えたことでしょう。

文人としての一面

一誠はまた、冷泉為村に師事した歌人でもありました。彼が詠んだ和歌は、福岡藩士・石松元啓の編纂した「山里和歌集」に収録されています。さらに、安永年間（1772年から1781年）には、福岡藩士の加藤一純によって編集された和文集「抹桑残玉集」の中にも、一誠の「長崎紀行」が収められています。これにより、彼の文学的な側面も評価されていることがわかります。

参考文献と資料

彼に関する詳細な情報は、『三奈木村村史資料第一巻』や福岡県の『福岡県史資料. 第2輯』に記されています。また、宮内庁書陵部の所蔵資料目録には「扶桑残玉集」があり、これは彼の作品に触れる良い機会となります。加えて、國學院大學デジタル・ミュージアムでは、黒田一誠の人物データベースも提供されており、さらなる研究資料として利用されています。

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