黒田正玄

黒田 正玄の系譜と歴史

黒田正玄（くろだ しょうげん）は、千家十職の一つであり、竹細工や柄杓の製作を代々引き継いでいる家系を指します。この家系は、竹を用いた茶道具の製作を専門とし、主に柄杓、台子、香合、花入などを手掛け、千家に納めてきました。現在、14代目が当主を務めています。

初代正玄の誕生と時代背景

初代正玄は、天正6年（1578年）、越前国黒田荘に生まれました。彼は当初、武士として丹羽長重に仕官していましたが、関ヶ原の戦いにおいて長重が西軍に属したため、改易され浪人となります。以降、剃髪して大津に移り住み、竹細工の職人としての道を歩み始めました。正玄は竹細工の技能を磨き、やがてその名声を広めていきます。

茶道界への進出

初代は、小堀遠州からの依頼を受けて茶道界に足を踏み入れ、その後も評価を受けることになりました。彼は皇室や幕府の御用達としても広く知られるようになり、長年にわたり三千家や将軍家に対して高品質な柄杓を提供しました。特に、豊臣秀吉からもその技術が認められ、「天下一」と称えられた一阿彌が師匠であったと伝えられています。

家業の存続と歴代

以降の歴代も千家十職の一員としての役割を果たし、家業の存続に尽力しました。しかし、明治維新の際に多くの困難に直面しました。10代の正玄は、早くに家督を相続したのですが、その長い時代の中で茶道は次第に衰退。特に、11代正玄はその家業の運営に多くの試練を経験しました。戦中・戦後の混乱の中でも、彼は周囲の支援を受けながら家業を維持しました。

系譜の詳細

• - 初代 正玄（1578年 - 1653年）：正玄の名は、彼の才能を讃えるために付けられました。剃髪後に茶道の世界に進出し、様々な著名な人物との交流を持ちました。
• - 二代 正玄（1626年 - 1687年）：初代の家督を27歳で引き継ぎ、徳川家光の御用柄杓師となりました。
• - 三代 正玄（1656年 - 1717年）：初名は弥助で、表千家や久田家への納品を手掛けました。
• - 四代 正玄（1692年 - 1731年）：13歳で家督を継ぎ、将軍家や三千家に仕えました。

その後も、五代、六代と家業の存続に努め、時には養子を迎えることで家徳を守りました。特に、六代は天明大火での困難に直面しながらも、古い資料を保つことに成功しました。

• - 十代 正玄（1825年 - 1900年）：茶道が衰退する中で家業を守る苦労を強いられました。尽力の後、隠居しその後亡くなりました。
• - 十一代 正玄（1869年 - 1911年）：急死したため、家業の維持に困難が伴いました。
• - 十二代 正玄（1880年 - 1973年）：家業を守り、長命を全うしました。
• - 十三代 正玄（1936年 - 2017年）：1966年に13代を襲名し、現在もその名は引き継がれています。

まとめ

黒田正玄家系は、竹細工を通じて日本の茶道具文化に重要な役割を果たしてきました。その歴史は、時の流れの中で困難があったものの、長い間続いてきました。今後もその伝統が守られ続けることが期待されています。

もう一度検索